早見優=ナンシーなのか?『夏色のナンシー』大ヒットの秘密を徹底解剖

早見優 (C)週刊実話Web
【スージー鈴木の週刊歌謡実話 第2回】
早見優『夏色のナンシー』作詞:三浦徳子/作曲:筒美京平、編曲:茂木由多加、1983年4月1日発売

前号の週刊実話より、スージー鈴木氏による新連載「週刊歌謡実話」がスタート。初回に引き続き、早見優の『夏色のナンシー』をお届けする。

【前回の記事】早見優を初めて見たとき「世界一美しい生きもの」だと思った―『夏色のナンシー』大ヒットとコカ・コーラCMの関係

『夏色のナンシー』がなぜコカ・コーラのCMにピッタリなのか

前回は、早見優『夏色のナンシー』と、彼女も出演したコカ・コーラのCMが、なぜぴったり合ったのか、そしてなぜこの曲が、彼女の最大のヒットになるほどまで支持されたのか、というテーマを出したところで終わりました。

その答えは最後で明かすとして、まずはこの曲の魅力を解剖してみます。

作曲は筒美京平。私は、この曲を聴くといつも「おもちゃ箱をひっくり返したようなメロディー」と思ってしまいます。

そのおもちゃ、いやメロディーはやたらと多い。Aメロ「恋かなYes!~」、Bメロ「風が吹くたび~」、Cメロ「You & me~」、Dメロ「プールサイドで~」、Eメロ「If you love me~」、Fメロ「去年とは~」…。

ちょっと細か目に分けてみましたが、普通AとBとC、もしくはAとBだけでもおかしくなかった当時の歌謡曲の中、A~F、6種類ものメロディーが詰め込まれているのです。

そしてそのどれもが、とてもキュートでキャッチー。このあたり、巨匠・筒美のアイデア量の勝利と言えましょう。

ですが、この曲の魅力を最大限まで引き上げたのは、三浦徳子の歌詞ではないかと私は考えます。

読みは「みうら・よしこ」。惜しくも2年前にお亡くなりになったのですが、1980年代前半の彼女はまさにキレッキレ。’80年に松田聖子『青い珊瑚礁』、’81年に郷ひろみ『お嫁サンバ』、’82年に沢田研二『6番目のユ・ウ・ウ・ツ』、そして’83年に『夏色のナンシー』。タイトルだけ見ても、芸風の広さに驚きます。