【難読漢字よもやま話】「薫風」なんて読む? 言葉にまつわる由来と豆知識


今では初夏の季語として定着

【薫風を使用した有名な短歌・俳句】
「薫風(くんぷう)」を用いた俳句や短歌には、季節感・自然美・感情の揺らぎを美しく描いた作品が多くあります。ここでは有名または印象的な句・歌をいくつかご紹介します。

●正岡子規
「薫風や 大樹の下に 書を読む子」

意味:初夏の爽やかな風が吹くなか、大きな木の下で本を読む子供の姿。清らかで穏やかな風景を詠んでいます。

●高浜虚子
「薫風の 吹きくる窓を あけにけり」

意味:香り立つような風が吹いてきたので、思わず窓を開けた情景。日常と自然の交差点を巧みに表現しています。

●与謝野晶子
「薫風に 髪ふかれつつ われ立てり 湖のほとり 鏡のごとく」

意味:初夏の風に髪をなびかせて湖畔に立つ女性の姿。「薫風」が女性らしい美と自然との調和を引き立てています。

「薫風」には、漢字や読み方だけでなく、季節の風や香り、自然の雰囲気までぎゅっと詰まっています。普段何気なく感じている初夏の心地よさや爽やかな風も、この言葉を知るとちょっと特別に感じられるかもしれません。そんな言葉の奥にある豊かな世界を、ぜひ楽しんでみてください。

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