「選手ファーストと引き換えに高校野球は何かを失った」箕島vs星稜戦(1979年)死闘の舞台裏
2025.08.04
スポーツ

8月5日から夏の全国高校野球選手権が始まるが、今年で107回を数える大会史上「最高の試合」と呼ばれ、死闘に次ぐ死闘を繰り広げたのが、1979年に行われた箕島(和歌山)対星稜(石川)戦だ。
その激闘の模様を、ジャーナリストの岡本萬尋氏が幼き日の記憶とともに振り返る。(全2回中の2回目。第1回を読む)
「このバントは、きっと失敗します」
18回裏、箕島は先頭の代打・辻内崇志が四球で出塁。次のバッターはキャプテンの上野山善久。
このとき尾藤はバントのサインを出しながら傍らの野球部長、田井伸幸にこう語りかけたという。
「このバントは、きっと失敗します。先生、それでいいんです」
これに先立つ18回表の星稜攻撃中には、場内アナウンスが引き分けの場合、明日朝8時から再試合と告げている。
この過酷な日程を避けサヨナラに持ち込むためにも虎の子の一塁ランナーを何としても進めたい場面のはずだが、尾藤はアウトカウントが増えるのを承知でなぜこんなことを口にしたのか。
実は上野山はおたふく風邪の症状で3日前から発熱していた。イニングが進むにつれ症状は重くなり、11回には疲れと薬の副作用で鼻血がユニホームに飛び散るほどだった。
そんな満身創痍の上野山を強烈な打球が襲う。12回表、星稜が均衡を破った箕島のエラーはセカンド上野山のトンネルだった。もう熱で足が動かなかったという。
それでもキャプテンは試合に出続けたが引き分け寸前で打席が回ってきたとき、田井はたまりかねて尾藤に直談判した。
「頼みます、上野山を交代させてやってください。もう無理です。これ以上は残酷です」
だが尾藤は首を縦に振らなかった。
「先生、ダメです。あの子がチームを引っ張ってきたんです。今代えたらチームはガタガタになります」
そして続けたのだ、このバントは失敗するがそれでもいいと。結果は尾藤の予言通りとなった。
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