シニアを狙う“カルチャー詐欺”にご用心! 俳句や写真、社交ダンスに熱心な富裕層がターゲットに

AIで生成したイメージ
高齢者をターゲットにした特殊詐欺がなくならない。

これだけ注意喚起がなされても引っ掛かってしまうのは高齢者が「純真であること」の証かも知れないが、そんな高齢者に近年被害が広がっているのが「カルチャー詐欺」だ。

弁護士のAさんが言う。

「一言で言えば、趣味に勤しむ高齢者にうまい話を持ち掛けて大金を出させるというものです」

例えば、俳句や短歌、写真、小説などにハマっている人には「作品集」の自費出版を提案し、これがダンサーやパフォーマーであれば「写真集」やステージなどの映像を収めた「DVD」、音楽をやっている人なら「CDアルバム」の制作を言葉巧みに持ち掛けるのだという。

「高齢者の中には『人生の記念』を残したいと考える方が少なくないですし、終活がきっかけになる方もいます。
よくマスコミなどでは、年金の少なさを嘆いたり、生活のためにトシをとっても働かなければならないなど、高齢者の貧困ぶりを伝えていますが、その一方で裕福な方はどこにでもいるもんなんです。
趣味に時間とお金を使えるという時点で生活に余裕があるのは明らかですし、経済的に恵まれている高齢者には自己顕示欲が強い傾向があります。
社会の第一線から離れて久しい高齢者は認知と賞賛に飢えていますので、さんざん持ち上げられた後に『どうでしょう?』と勧められたら、その気になるのも無理はないんです」(Aさん)

Aさんが扱った案件の具体的な被害は次の通り。

吉田賢三さん(仮名・76歳)のケース。
「趣味で写真を撮っています。市民文化祭に出品したところ、自費出版専門だという会社の営業マンに声をかけられました。
私が所属しているのは公民館でやっているような庶民的なサークルだし、無名の素人カメラマンの私に何で? と思いましたが、作品をべた褒めされて、ついその気になっちゃいました(苦笑)。
家族でさえ、私の趣味を『道楽』だと決めつけて、撮った写真にはまったく興味を示さないくらいだったので有頂天になったんですよ。
契約書も交わし、何度か作品の選別のためのやりとりをし、費用として200万円手渡ししたら音信不通になりました」