国民負担率上昇は高齢者の責任なのか? 選挙へ行かない若年層は「実質的に増税を容認している」

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「給料の5割が税金と社会保険料に消える」と言われて久しいが、今年の春先に財務省が2025年度の国民負担率(税と社会保障負担率の割合の合計)の見通しを46.2%と発表した。

数年前に騒がれたように、福祉や給付のなかった江戸時代は収穫の5割の年貢を納めていたが、現代もこの比率と変わらない状況が続いている。

1970年が24.3%だったことを考えれば、現在の国民は実に2倍の重税を課せられているとも言える。今年1月に亡くなった経済アナリストの森永卓郎氏は、国民負担率高止まりの本当の原因を解説。さらに、国民負担率を下げる方法をひも解いていた。

週刊実話2023年3月23日号掲載「『国民負担率』は誰のせい?」より ※肩書などは当時のもの

2010年の37.2%から12年間で11.2%上昇

財務省が「国民負担率」を発表した。

国民負担率というのは、国民所得に占める租税と社会保障負担の割合だ。

国全体で、国民や企業が稼いだお金の何%が税金や社会保険料で持っていかれるのかを示しており、2022年度は48.4%と過去最高で、ほぼ5割が税金や社会保険料に取られることになっている。

この報道を受けてネットの世界では、「五公五民」や「百姓一揆」という言葉がトレンド入りした。

江戸時代の中期に年貢米の割合が4割から5割に引き上げられたことで、日本中で一揆が頻発した歴史になぞらえたものだ。

実業家のひろゆき氏は、2月24日に「60歳以上の人たちは、稼いだ額の8割を自分のお金として使えて、国立大学の学費も月2万円とかの時代。今の若者たちは稼いだ額の半分しか使えなくて、大学の学費は月10万円。この差を知らずに高齢者が『若者たちは元気がない』とか『若者の車離れ』とか言ってる状況」とツイートした。

まるで高齢者が、若者から搾取していると言わんばかりのツイートだが、国民負担率の上昇は、本当に高齢者の責任なのか。

国民負担率は2010年の37.2%から2022年の48.4%へと、12年で11.2%も上がっている。

そのうち租税負担が8.0ポイント、社会保障負担が3.2ポイント上がっている。

つまり、国民負担増の大部分は、租税負担が上昇したことの結果なのだ。

なぜ、租税負担が上昇したのか。最大の理由は、2014年と2019年の2回にわたって消費税率が引き上げられ、5%から10%に倍増したことにある。