「ロンギヌスの槍を持つ者に世界を制する力が与えられる」白内障だったロンギヌスが聖者と呼ばれるまで

AIで生成したイメージ
アドベンチャーゲームやファンタジー小説、冒険映画などで最強武器として登場する機会も多い「ロンギヌスの槍」。十字架にはりつけにされたイエス・キリストの脇腹を刺した槍のことだが、ここまで一般的になったのは人気アニメで取り上げられたからだ。

「ご存じの方も多いと思いますが、1995年からテレビ東京系で放送された『新世紀エヴァンゲリオン』で登場したことで一躍有名になった。
アニメは“セカンドインパクト”後の地球に、使徒と呼ばれる謎の敵が襲来。それを汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオンにパイロットとして搭乗した少年、少女が戦っていく。
このアニメには使徒をはじめ、キリスト教にまつわる用語が作品内のあちこちに使われ、ロンギヌスの槍も終盤に登場している」(歴史ライター)

作中でロンギヌスの槍は「絶望」の象徴であり、その使用は「死刑執行」に値するとも暗示されているが、エヴァンゲリオンブームの盛り上がりとともに、アニメファンや若者層に浸透していった。

もっとも、ロンギヌスの槍が所有者に“偉大な力”をもたらすとの伝承は古くから存在する。

イエスの血に触れた槍に宿る力とは?

キリスト教の聖遺物の一つ聖槍は、十字架上のイエスの脇腹を刺したとされ槍のことで、刺したローマ兵の名をとって「ロンギヌスの槍」とも呼ばれる。

ロンギヌスは白内障を患っていたが、目に滴ったイエスの血により視力を取り戻し、のちに洗礼を受けて聖者と呼ばれるようになったという。

ロンギヌスの槍として知られるのがバチカン市国のサン・ピエトロ大聖堂に保管されたもので、エルサレム→東ローマ帝国(のちにオスマン帝国)→ローマ教皇という経路でもたらされたようだ。

一方、アルメニアのエチミアジン大聖堂にも聖槍とされるものがあり、イエスの直弟子タダイによりこの地へ持ち込まれ、200年間も秘密の洞窟に隠されていたという。

ロンギヌスの槍にはそれを持つ者に世界を制する力が与えられるという話もあり、聖杯と並びさまざまな創作物においてキーアイテム的に登場している。