「さらば、ボロ競輪場よ。あなたへの愛とささやかな憎しみは一生忘れない」1勝13敗の伊東温泉競輪ギャンブル記

伊東温泉(C)週刊実話Web
【漢(オヤジ)の旅 静岡県伊東市編(2)】
『週刊実話 ザ・タブー』で連載中の藤木TDC氏による「漢(オヤジ)の旅」は、全国の公営ギャンブルをめぐるディープツアーガイド。金はないけど飲む・打つ・買う。今回は、静岡県伊東温泉競輪場体験記をお届けする。(前編はこちらから

1日目の夜も不吉な出来事ばかり

温泉街といえばスナックだが、この日は負けたので伊東で随一の闇市ムードのもつ焼屋『ひさご』で飲むことに。

ビールはすべて大瓶(700円)、串1本150円から、伊東名物の干物もあるのでビールに焼鳥4本、奮発してムロアジ干物600円をチビチビつつく貧乏観光。

隣のオッサン客と不景気談義になったが、聞けば近年、伊東の高級温泉ホテルは浴衣・下駄履き外出禁止も多く、宿から客も外出しないので商店街は瀕死状態、スナックも閑古鳥という。そもそも昔のような男性団体客も少ないのだ。

「スナック●●みたいなの、まだあると思うけど、盛り上がってないよね。タクシーの運ちゃんに聞いてみれば?」

そういうシケた話を聞いても、こちらも盛り上がらないのでお会計。お通し220円を追加して2120円とはリーズナブル。その後「宵まち通り」の街灯きらめくスナック街を流してみたが、キャッチもおらずひっそり。

振り返るとはるか彼方の山腹に「伊東に行くならハ・ト・ヤ~」の本館の看板。「ハ」の字のネオンが片側切れて「トヤ」になってる。ドヤじゃないんだから早く修理したほうがいいぞ。

不吉な出来事ばかりなので、一泊3900円の激安ボロビジホに帰って寝るか、と本日の伊東グルメを終了。

さて翌日は競輪が始まる午後4時頃まで何も予定がない。どうする。

ボロビジホの近くの松川沿いに建つ文化施設、旧老舗旅館の東海館を拝観(200円)。かつて文豪やら粋人やらが遊んだ旅館内部は見ごたえがあったが、120畳敷の大広間に飾られた芸者人形は空気ワイフのようなわびしい姿であった。

その後は新名所、伊東マリンタウン方面に足を伸ばし、ホテル予約サイトのクーポンを使ったら1800円の乗船料が100円ですむ遊覧船イルカ号で相模湾をクルーズ。

こちらも海上にめぼしい景勝はなく、赤潮やウニの死骸が浮く汚れた近海を一周して40分で終了。そんな感じで伊東の昼下がりは終わり、再び無料バスでボロ競輪場へ向かった。ウーン、なんかまったく気分がアガらず、競輪も勝てそうな気がしないのだが…。