日本屈指のボロ競輪場で一攫千金の夢を見る「約10年ぶりの伊東競輪は、ほとんど変わっていなかった――」

伊東温泉競輪 (C)週刊実話Web
【漢(オヤジ)の旅 静岡県伊東市編(1)】
『週刊実話 ザ・タブー』で連載中の藤木TDC氏による「漢(オヤジ)の旅」は、全国の公営ギャンブルをめぐるディープツアーガイド。金はないけど飲む・打つ・買う。今回は、静岡県伊東温泉競輪場体験記をお届けする。

関東最南端の伊東温泉競輪場へ!

ギャンブルと酒のドケチ旅、今回は静岡県伊東市へ競輪の旅である。伊東は熱海や箱根とともに、関東人にはなじみ深い温泉場。しかし、そこへ競輪で遊びに行くマニアは少ない。

その理由は、伊東温泉競輪が施設の古さに関して日本屈指の競輪場だから。この世の最果てを感じさせるボロ競輪場で一攫千金の奇跡は起きるか。資金をかけないドケチおやじが高級旅館宿泊を夢見て、いざ、車券勝負スタート!!

東京から伊東へは東海道線と伊東線を乗り継いで約2時間半。今回はナイター競輪なので、昼過ぎに東京を出れば1Rに間に合う余裕の日程だ。

東京都内は混雑する東海道線も、神奈川県の戸塚駅を過ぎた頃にはガラガラになり、席に座って居眠りしたり文庫本を読んだりしていればあっという間に熱海駅。

そして、これもガラガラの伊東線に乗り換えて、伊東駅着が15時過ぎ。駅前に停まる無料送迎バスに乗り込めば、10分程度で競輪場に到着だ。

筆者が初めて伊東温泉競輪を訪れたのは、2016年。そのときは、同県の静岡競輪に比べて施設のボロさに驚いた。

急斜面の山肌を掘削したバンク正面の2階建てのスタンドは、おそらく築50年以上。傾斜に建てたスタンドの床はバンクに向かって傾き、足腰の衰えたオッサンはよろけて転げ落ちそうな恐怖がある。

そこに当時は露店のような売店がポツンとあるだけ。2階スタンドはなんと雨漏りしていた。

そんなボロ競輪場に集まるのは、世捨て人ばかり…と当時、雑誌のコラムにひどいことを書いたためか、伊東競輪の神様に嫌われたようで、昨年8月に再訪しようとしたら大雨で伊東線が運休。急遽、目的地を変えるハメになった。

今回も梅雨時で荒天開催が心配だったが、天気はまずまず。しかし、思いもよらぬ競輪の神様の意地悪が待ち受けていた。