“劇場型美人局”の実態 被害者の40代男性が証言「5万円で警察沙汰にならないなら…」

AIで生成したイメージ
【美人局のヤバすぎる最新手口】
マッチングアプリの普及やメンズエステ店の増加で“美人局(つつもたせ)”被害が全国的に深刻化している。殺人事件に繋がるケースもあり、社会問題化しているのが現状だ。被害者が騙されたことに気づくまで時間がかかる、巧妙化した“劇場型美人局”の手口とは――(全2回の2回目。1回目を読む

突然NPO職員を名乗る男が出現

都内在住の40代会社員のS氏は「まさか自分が美人局に引っ掛かるとは思わなかった」と嘆く。

事の発端は今年6月上旬、S氏が都内の繁華街にある出会いカフェに行ったことから始まった。

S氏はそこで知り合った橋本環奈似の20代女性とホテルへ行き、お手当の2万円を支払って性行為を行ったという。

「特にトラブルになるようなことはなく、スムーズなやりとりで最後までできました。この時点では特に不審な点は感じられませんでしたね」(S氏、以下同)

入室から約90分後、ホテルを退出して女性と別れると、S氏はかっぷくがいい中年男性に呼び止められた。

その男はNPO職員であることを名乗り、警視庁と連携して“違法な出会いカフェ”の摘発に動いていると説明してきたという。

「出会いカフェに入っていく男女を常に監視していると教えられました。そして出会いカフェから出てきた私が、女性とホテルに入り、出てくるとこも見ていたと言うのです」

日本の法律では、買春行為が禁止されている。

しかし、直接的な罰則が設けられておらず、買春をしただけで逮捕されたり、刑罰を科されたりすることは原則ない。違法行為ではあるが罰則がないという、法律上は“グレーな扱い”となっているのだ。

「それは私も分かっていましたし、その男もしっかり説明してくれました。ただ、違法行為なので『警察署で調書だけは取らせてくれ』と言うんです。無視しようかとも考えましたが、もし応じないなら、すぐに警察を呼ぶと告げられました」

S氏としては大事にしたくなく、調書を取るだけなら問題はないと考えた。ただ、一つ引っ掛かる点があったという。

「男が『家族か会社には連絡がいく』と言うんです。家族にはバレたくないですし、会社にバレると懲戒処分を受ける可能性がありますから。それだけが気掛かりでした」