“劇場型美人局”の実態 被害者の40代男性が証言「5万円で警察沙汰にならないなら…」

「5万円で警察沙汰にならないなら…」

Sさんのそういった心理を見透かすように、男は“ある提案”をしたという。

「その男は借金返済のためにNPO法人を手伝っており、私を警察署に連れて行くことでNPO側から報酬を得ていると言いました。
なので、その分を肩代わりしてくれるなら“見逃す”というんです。金額は5万円。払えない金額ではありません。それで警察沙汰にならないなら、しょうがないかなと思っちゃったんです」

S氏は最寄りのATMでお金を下ろし、男に5万円を手渡した。S氏がこれが美人局だったと気づいたのは、被害に遭った日から1カ月ほどたった頃だった。

「ネットで調べたのですが、出会いカフェを摘発しようとしているNPO法人が見つからず、もしかしたら『騙されたかもしれない』と考えるようになりました。確信に変わったのは、出会いカフェのスタッフにこのことを話したこと。
同じような体験をした男性が複数人いることを教えてくれたのです。しかも、被害に遭ったのはすべて同じ女性とホテルに入ったあと。証拠はないですが、多分、グルだったのでしょう」

この事例からも分かるように、美人局は常にその手口を変化させ、被害者の心理的な弱みや社会的な立場を巧みに利用する。

「詐欺でもそうですが、警察官やNPO職員など、さまざまな役になりすまして被害者をあざむく“劇場型”の被害が増えています。
劇場型はより複雑で、被害者が美人局だと気づきにくいように仕組まれています。被害に遭わないためにも相手の素性をしっかり確認し、お金の話が出た場合は、親族や知人など必ず誰かに相談してください」(法曹関係者)

男女が出会いを求めるのは世の常であり、美人局の魔の手はどこにでも潜んでいる。

もし被害に遭ってしまった場合は、一人で抱え込まず、速やかに警察や弁護士などの専門機関に相談することをおすすめしたい。

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