トカラ列島群発地震で桜島大噴火、南海トラフ巨大地震が起こる可能性を専門家が指摘

プレート同士がぶつかり続ける特殊な海域

トカラ列島も三宅島のように最悪の事態になるのだろうか。

「トカラ列島一帯は東からフィリピン海プレート、そしてその上に乗っかっている奄美海台が沈み込んでいる。一方、西側には沖縄トラフが広がっている。一帯には、古い火山の痕跡もある。
亀裂や断層もたくさんあり、そのような場所へ深部から水などの流体が供給され、滑りやすくなり、地震が多発しているんです」(火山学者)

地震学者の島村英紀氏にも話を聞いてみた。

「トカラの群発地震は、南海トラフ地震とは無関係といわれています。しかし、今回の地震の原因は地殻構造が問題なのか、海底火山が問題なのか、まだはっきりしない段階で関係ないと決めつけるのは、どうかと思いますね」

トカラ列島は奄美大島、沖縄本島と共に「琉球弧」と呼ばれるが、長大な琉球弧の中で群発地震が起きるのは小宝島、悪石島付近だけなのだ。

これは、この海域で潜り込むフィリピン海プレートが、巨大な海底山脈で構成される大東海嶺や、巨大な海底台地の奄美海台を乗せ、沈み込む際に、海台がユーラシアプレート側の地殻にぶつかる。

熊本大学の研究者は、この様子を「トカラ列島近海は、ほぼ九州サイズの大型ダンプカーが100万年くらい衝突し続けているような特殊な海域」と表現しているが、群発地震が多いのは、実は当然なのだ。

防災ライターの渡辺実氏が、こう語る。

「震度1以上の地震が1500回以上観測されている。トカラの群発地震と南海トラフ地震との間に、直接関係があるとは思わないが、大きな意味で言えばトカラの群発地震も南海トラフの地震もフィリピン海プレートの運動によって引き起こされるというのが気になる。
伊豆半島東方沖でも1989年6月に群発地震が発生し、その2週間後には海底火山が噴火した。私の勘だが、今回の群発地震、最後には桜島大噴火につながるような気がするんです」