“審判劇場”と化すプロ野球 巨人×阪神「誤審騒動」から見るスポーツの境界線

判定炎上が一番話題になる時代

実際、阿部監督の退場劇はスポーツニュースだけでなく一般ニュースにも取り上げられ、SNSでトレンド入りを果たした。

リクエスト映像を分析した動画がYouTubeで多く再生されるなど、プレーそのもの以上に判定が注目を集めている。

これは裏を返せば、誤審や判定リプレイが、コンテンツとして非常に強いということだろう。

ある意味、審判の判定が揺らぐ瞬間こそが、最も多くの人々がプロ野球に目を向けるタイミングになっている。

もちろん、誤審は本質的には避けるべきものなのは間違いない。

しかし現在のプロ野球界は、それを「回避する努力」よりも「コンテンツとしてうまく包摂する」方向に傾いているようにも見える。

リクエスト制度が導入され、VTR検証という演出が加わったことで、審判の判断プロセスが“見せ物化”されているのだ。

そこには一種の「スポーツ×演劇」的な構造が生まれている。