米コメ輸出圧力、裏金再燃…石破首相が参院選で直面する内憂外患の大政局

石破茂 (C)週刊実話Web
【亡国の自民連立劇場(2)】
通常国会が閉幕し、いよいよ7月20日投開票の参院選の火蓋が切って落とされる。小泉進次郎農相の「コメ劇場」が追い風となって与党が勝利すれば、石破茂首相が狙うのは連立拡大と衆院解散だ。与野党の実力者も秋の政局を見据え、すでに水面下で動き始めていた。

自民と立憲が事実上の大連立へ?

首相に近いベテラン議員は「小泉進次郎農相効果や国民民主の失速で、石破茂首相は参院選勝利と自身の続投を織り込み始めている。勝てば秋に向けて自公立の3党連携を実現すべく、いろいろと動くということだ」と胸中を代弁する。

「黒子」として動いているのは、財務省の新川浩嗣事務次官と一松旬大臣官房審議官とされる。

新川氏は野田政権での税と社会保障の一体改革を実務者として起案した実績を持つ。一松氏は「社会保障分野のエキスパート」との評が高く、岸田政権では首相秘書官として政権中枢に身を置いた。

この2人が足繁く通う先が、自民党の森山裕幹事長と立憲の安住淳衆院予算委員長だ。

自民党の国対関係者によると、森山、安住両氏は、通常国会で先送りになった企業・団体献金改革と選択的夫婦別姓の導入、国民年金の底上げ財源の在り方の3つについて、次期国会で打開を目指す協議体を3党で作る方向で調整しているという。

「他の大事なテーマで協力が進めば、本命での連携がしやすくなる。連立にならなくても近い形を作れる。首相の『すべては秋』の『すべて』には、ここまでのことが込められている」(先のベテラン議員)

首相と野田佳彦立憲民主党代表は、第2の「税と社会保障の一体改革」に向けて気脈を通じ、「事実上の大連立」への環境を整えようとしているわけだ。

だが、所詮は内閣支持率頼みなだけに、どこまで石破首相の思惑通りに進むかは見通せない。懸念材料の1つは、米国から漂ってきた「暗雲」だ。

先の日米首脳会談は関税交渉の継続で一致したが、合意できなかった原因は米国が課す自動車関税の引き下げで折り合えなかったからだけではない。

日米交渉筋によると「米国はコメの開放を強く求めてきている」という。日本では、米国のコメ産地は民主党の強いカリフォルニア州と思われている。

日本人好みの短粒種ではそうだが、長粒種を含めた最大の産地は中南部のアーカンソー州やルイジアナ州だ。これらの州はトランプ氏支持者が多く、それ故にトランプ氏はコメ輸出拡大にこだわっているという。

とはいえ、日本が参院選を前に輸入増を受け入れれば、自民党の有力支持基盤である農業団体の強い反発を招き、選挙に影響を与えるのは必至だ。

「関税交渉を参院選までにまとめるのは難しい。選挙後でもコメで妥協すれば政権基盤に響くので、首相は困難な決断を迫られる」

交渉筋はそう話す。