小泉農相「コメ劇場」で追い風 石破政権が参院選勝利で自公立大連立を画策

石破茂 (C)週刊実話Web
【亡国の自民連立劇場(1)】
通常国会が閉幕し、いよいよ7月20日投開票の参院選の火蓋が切って落とされる。小泉進次郎農相の「コメ劇場」が追い風となって与党が勝利すれば、石破茂首相が狙うのは連立拡大と衆院解散だ。与野党の実力者も秋の政局を見据え、すでに水面下で動き始めていた。

3党首が集まり「内閣不信任決議案は出てこないですね」

5月27日、国会内の常任委員長室には自民党総裁である石破茂首相と斉藤鉄夫公明党代表、そして野田佳彦立憲民主党代表の姿があった。

焦点の年金制度改革法案の修正について、3党の党首が正式に合意するためだった。

「これで内閣不信任決議案は出てこないですね」

首相は冗談めかした口調で野田氏に水を向けた。

6月22日が会期末の通常国会最終盤において、最大の焦点は野田氏が不信任案提出を決断するかどうかだった。

だが、国民生活に大きな影響を与える年金制度改革法案を共に可決・成立させる相手に不信任案を突き付けるのは筋が通らない――首相の言葉は半ば本心だったと言っていい。

しかし、野田氏の返答は予想外の内容だった。

「少し(解散の)風を吹かせてほしい」

意味するところは明白だった。首相に近い政府関係者が話す。

「野田さんは不信任案を出すつもりがないので、立憲内で野田氏に不満を募らせる小沢一郎総合選対本部長代行らが盛んに『出せ』と訴え、揺さぶりをかけていた。
年金合意で大連立への疑念を深める国民民主党の玉木雄一郎代表や日本維新の会の前原誠司共同代表は、そうはさせまいと提出を促す発言を繰り返していた。黙らせるには解散風を吹かすのが妙手だった」

ここで解散すれば衆参同日選となるが、準備ができていないので、本音では誰もが避けたい。

そこで解散の現実味が増せば「誘発を警戒して外野の声は小さくなる」(政府関係者)わけだ。

実際、野田氏の発言を受け、首相官邸サイドがリークする形で、6月2日に朝日新聞が「不信任案が出れば、首相は採決を待たずに解散を検討」と報道すると、玉木氏や前原氏の発言は一気にトーンダウンした。

高騰する米価の抑制を進める小泉進次郎農相への世論の支持が高く、低迷が続いた石破政権が持ち直してきたことも大きかった。