NGT48新曲『希望列車』初日3.6万枚 ポスト坂道時代に地方アイドルは何を象徴するのか

KAWAII LAB.の「物語のない可愛さ」 

FRUITS ZIPPERやCUTIE STREET、CANDY TUNEに代表されるユニットは、「サブカル感×ガーリー感」でメジャーとマイナーの中間領域を演出。Y2K、Z世代的世界観、TikTokフレンドリーな断片性、そして「物語のない可愛さ」で、ビジネスファッション化した“KAWAII”で演出し、マーケ主導型のアイドル像を確立した。

48G(民主主義的)→坂道(審美主義的)→KAWAII LAB.(資本主義的キャラ主義)という流れは、戦後日本の「国家」→「共同体」→「商品(コンテンツ)」という三段階の変質そのもののパラレルにも見える。

この意味で、KAWAII LAB.的アイドルとは、もはや「国民的」ではなく、「アルゴリズム的に拡散される断片的カワイイ」の束であり、「ポストアイドル」のプロトタイプだと考えられるだろう。

NGT48の衰退は、アイドル国家の「地方共同体パーツ」が役割を終えたことの象徴である。

KAWAII LAB.のようなポストアイドルプロジェクトがZ世代の感性にフィットしていくなかで、「地方性」「参加型」「接触型」「親しみ」は、むしろ過去のノスタルジアと化した。

それでもNGT48は「希望列車」と名付けた。このネーミングが示しているのは、平成の終わりに託された希望が、どこにも到達しないまま宙吊りにされている現実そのものだ。

「会いに行けるアイドル」から「発見される断片的キャラ」への変質。「地域社会の代表」から「アルゴリズム上のサジェスト」への置換。その中で、NGT48が最後に示したのは、「戦後=平成」のアイドル共同体がいかに時代の流れから取り残されたかという、歴史的証言である。

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