NGT48新曲『希望列車』初日3.6万枚 ポスト坂道時代に地方アイドルは何を象徴するのか

48Gと坂道シリーズとは何だったのか?

“会いに行けるアイドル”だった48Gは世界観として「親しみ・庶民性・数と量の共同体」を展開し、「総選挙」と銘打って国民的参加イベント(擬似民主制)を開催。地方分権的に“本店”と“支店”(AKB→SKE/NMB/HKT/NGT/STUなど)を分け、戦後民主主義的「多中心型」としてグループを展開。ファンを通じた集団主義的エネルギーを持っていた。 

一方で坂道シリーズの世界観は「優雅・神秘・個と物語のカリスマ性」。シングルごとにフォーメーションを変えるなど、権威的な美学を演出。中央集権型の(乃木坂の派生形として櫻・日向)「選民主義」をシリーズで展開。恋愛禁止神話などのタブー性で神聖化されていった。 

つまり48Gは「戦後民主主義的共同体」=昭和~平成の下から支える国民国家モデルであり、坂道はアンチテーゼとして「選抜される美のエリート」=ポストモダン的・平成後期の静的審美モデルと言い換えることができるかもしれない。 

48G、坂道アイドルとは、実のところ「メタ政治的国家装置」だった。参加可能性・共感・物語・ルサンチマン管理など、アイドルを通じて日本社会を再現/統治してきた。 

しかし、2020年代に入りそのシステムは疲弊し、彼の不在と共に新たな潮流が立ち上がりつつある。その一例が、KAWAII LAB.プロジェクトだ。