旧ジャニーズ事務所の性加害問題 実名告発の男性が本当に求めているモノ

「まずは対話、再面談を依頼するのみ」

会見後にメディア取材を受ける堀田氏(6月2日)
そもそも堀田さんを含む男性3人がSMILE-UP.を訴訟したのは今年3月6日のこと。

3人は2月12日に開催された「ジャニーズ性加害問題当事者の会」元代表・平本淳也氏の『ジャニーズ帝国との闘い』(地平社)の刊行トークイベントに登壇。民事訴訟の提起を進めていると話しており、約1カ月後に行動へ移したというところになる。

堀田氏はいわゆる“所属組”ではない。ジャニーズ事務所入りを目指していた1987年、中学3年生の15歳の時に広島駅でジャニー喜多川氏による性加害を受けたと訴えている。

自身が“対象外”とされた理由について堀田氏の考えは次の通りだ。

「地方出身で、なおかつジャニー喜多川との接触が不自然だと思われているのかと感じます。
オーディションを介した訳ではなく、おっかけの際にジャニー喜多川を見つけ、自ら声をかけたというシチュエーションですので、これを容易に納得するのは難しいと感じる部分はあります」

そして3月の会見後には、以下のように話している。

「メディアを通じて実名告発や地位確認訴訟までしないといけないことに憤りを感じております。
まずは対話、再面談を依頼するのみですが、会見も行い、私にとってはリスクしかありません」

堀田氏のように在籍歴がない被害者は、ソーシャルメディアやプラットフォームメディアで「お金目的」といった誹謗中傷にさらされる。

しかし、このような偏見は極めて危険であり、被害の訴えそのものを沈黙させてしまうだろう。

旧ジャニーズ問題では“見えやすい被害者”ばかりが補償対象と見なされやすく、「周辺にいた人」「夢を見た地方出身の少年たち」の存在は制度の外に押し出されてしまうのだろうか。

堀田氏のケースは、そうした制度外の“語られない被害者”をどのように扱うかという社会全体の問題を浮き彫りにしている。

取材・文/週刊実話Web編集部

【関連】【第1回】元ジャニーズJr.平本淳也氏が「性加害問題」の真実を語る~少年たちは本当に被害者だったのか?