「勝手にシンパシーを感じる存在だった。安らかに眠ってほしい」蝶野正洋が“インディーの帝王”サブゥーさんを追悼

蝶野正洋 (C)週刊実話Web
「蝶野正洋の黒の履歴書」“インディーの帝王”サブゥーさん死去

「昔ながらのプロレスラーのマインドを持っていた」

5月12日、“インディーの帝王”と呼ばれたプロレスラー、サブゥーが亡くなったことをWWEが公表した。

ひと月ほど前に、引退試合をしたばかりだった。

サブゥーは“アラビアの怪人”と呼ばれたザ・シークの甥で、インディペンデント系のプロモーションを中心に活動していたんだけど、1994年の末から新日本プロレスに参戦することになった。

当時の俺は、シングルプレーヤーとしてやっていこうと思ってたんだけど、それだと対戦カードが組みづらい部分があったので、タッグも模索していた時期。

外国人選手だったら俺と合っているんじゃないかということで、サブゥーがタッグ候補に挙がり、’95年の東京ドーム大会からタッグを組んだ。

実際に試合をしてみると、サブゥーは動きがいいし、お客さんを沸かせるのもうまかった。

プロフェッショナルだし、職人気質のあるレスラーだった。

破天荒なムーヴで体を壊すような受け身を取ったりするから、最初は少し心配になったけど、あれが彼の表現なんだよね。

見せ方がちょっと違うだけで、痛みに耐える姿をお客さんに見てもらうという、昔ながらのプロレスラーのマインドを持っていた。

普段のサブゥーは物静かなタイプで、他の選手とはあまり絡まない。

一緒に来日していたレフェリーが付き人みたいな存在で、その彼がいつもデカいボストンバッグを3~4つくらい抱えてるんだよ。

中身はほとんど缶詰とか食料品。日本食が苦手だったのか、それとも宗教的な理由だったのかは分からないけど、ツアー中の約2週間、それで食事を済ませていたようだ。

サブゥーは俺と年齢も近かったから、勝手にシンパシーを感じる存在だった。安らかに眠ってほしい。