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『島忠』買収の裏側ーコロナ特需のホームセンター業界が急ピッチで再編~企業経済深層レポート

企業経済深層レポート (C)週刊実話Web

新型コロナ禍で多くの企業が大打撃を受ける中、ホームセンター(HC)業界は逆に活況を呈している。この「巣ごもり特需」は、しばらく続くとみられるが、一方でHC業界内でのサバイバルも激化しており、業界再編が急ピッチで進んでいるという。

まず、HCの好調ぶりを経営コンサルタントが分析する。

「帝国データバンクが上場HC20社を対象に、2020年度の最新四半期(20年3~5月と4~6月)の業績を集計したところ、20社の売上合計は7851億円で前年同期比約1割増、営業利益の合計は680億円となり、前年同期比7割超の大幅増加となった」

業界首位のカインズ(売上高4410億円)は非上場だが、例えば、業界2位のDCMホールディングスを見れば、今年の好調さは明らか。売上高は1258億円(20年3~5月期)で前年同期比8.6%の増収、営業利益は70.4%増の116億円に達した。

大阪など近畿地方を中心に拡大する業界3位のコーナン商事は、売上高が1137億円(20年3~5月期)で前年同期比29.5%増収、営業利益は68.4%増の108億円。新潟県発祥で全国展開する業界4位のコメリは、売上高が1118億円(20年4~6月)で前年同期比15.8%増収、営業利益は74.3%増の124億円と驚異的な数値を確保した。

DIYや園芸用品が販売増

伸びているのは上位ばかりではなく、中堅HCも軒並み好調だ。また、どの企業にも共通して言えるのは、DIY(専門業者でない人が、何かを作ったり、修繕したりすること)や園芸用品が伸びていることだ。

HCの店長が売れ行きを解説する。

「最近のDIYでの売れ筋は、電動ドライバーや電動ノコギリなどで、充電式のものが多いですね。充電式はコードレスなので切断事故もなく、初心者にも扱いやすいので好評です」

在宅テレワークが増えたことから、自宅内に「パパ仕事スペース」を造る人が増えている。また、地方の空き家を格安で購入し、数年かけてセカンドハウスにするため、本格的DIY道具一式を購入した猛者もいる。

園芸関連では、家庭菜園を楽しむ人が急増し、プランターや苗、培養土などの関連商品の売り上げが伸びたという。