「夏の参院選」女性候補擁立を巡って自民、立憲民主、国民民主に不協和音

石破茂 (C)週刊実話Web
【大荒れ参院選(1)】
自民党や立憲民主党、国民民主党内で、夏の参院選の女性候補擁立を巡り、不協和音が鳴り響いている。特に自民は惨敗が予想されるだけに、一般受けしそうな女性を擁立して浮動票を獲得しようと必死だ。
だが、そうは問屋が卸さない。目玉候補の名前が挙がるたびに、党内や自民支持者から反発を受ける有り様となっている。立憲や国民民主内も同様で、まるで内ゲバ状態。自立国には女難の相が出ているようで…。(全2回中の1回)

「自民党は左翼ですよ」

ゴールデンウイーク中、参院選候補者に関する、あるニュースが自民党内をザワつかせた。

自民が参院選の比例代表に、聴覚障害があり「筆談ホステス」として知られる東京都議の斉藤里恵氏(41)を擁立するというニュースだ。

なぜザワついたのか。それは斉藤氏には2019年の参院選比例代表に立憲公認候補として出馬し落選した過去があるからだ。

ノンフィクション作家でジャーナリストの門田隆将氏は、SNSで「政治信条も何も関係なくなった“左翼政党自民”。見た目と話題だけしか考えない亡国政党は国民を舐め切っている」と自民をこき下ろした。

ネット上には「立憲自民党ということか」「自民党は左翼ですよ、保守ではありません」など批判の書き込みが相次いだ。保守系の人たちの声と言っていいだろう。

全国紙政治部記者はこう語る。

「斉藤氏は都議会で現在無所属ですが、今年2月まで立憲会派に所属していました。自民党内には『立憲から出馬し、落選した人物を候補者にするなんて、わが党も落ちぶれたものだ』との声が渦巻いています。リベラル派として知られる野田聖子元総務相が声をかけて話を進めたようです」

石破茂氏が総理総裁に就任して以降、自民の左傾化は著しく、斉藤氏の擁立劇はそのことを象徴する出来事となった。

ちなみに、野田氏の立憲からのスカウトはこれが初めてではない。

総裁を猛批判にした人物を擁立

’21年の衆院選において立憲公認で岐阜5区から出馬し落選した今井瑠々氏(29)を、岐阜県議選に自民推薦で出馬させ当選させている。

自民の左傾化を印象付ける動きは他にもある。

自民東京都連はNPO法人代表理事を務めていた渡部カンコロンゴ清花氏(34)を参院選東京選挙区に擁立しようとした。

ただ、渡部氏はかつて自身のSNSに「『バカに権力を与えるとどうなるか』という見本が今の安倍(晋三)政権」「戦争法案反対抗議運動に足を運んできた」と書き込んでいた。

戦争法案とは集団的自衛権の行使を一部容認した安全保障関連法のことだろう。

政治部デスクは「かつての自民党総裁をバカにし、安全保障関連法に反対していた人物を擁立しようとしたのは驚くしかない。党内からの反発を受け、最終的に擁立を断念しましたが、こんなことをしていたら、岩盤保守層は自民を本当に見放すことになるでしょう。その危機感が自民にないのが不思議です」と話す。

もはや自民党には政治的信条はおろか、恥も外聞もない状態と見て取れるのだ。

大荒れ参院選(2)】へ続く

「週刊実話」5月29日号より