剛腕・小沢一郎が描く“玉木首相”誕生への道筋

小沢一郎 (C)週刊実話Web
【参院選政局モード突入(1)】
あっという間に終わった大型連休のゴールデンウイーク。与野党の議員は地元で有権者の厳しい声に接し、政治不信の根の深さを感じたに違いない。与野党ともに夏の参院選を前に、政局モードに突入しそうな勢いだ。
立憲民主党の小沢一郎総合選対本部長代行は本格的に動き出し、自民党の高市早苗前経済安全保障担当相は「ポスト石破」に向け発信を強めている。“天下分け目”の夏に向け政局の主導権を握るのは誰だ!(全2回中の1回)

小沢一郎氏が立憲党内を力業で掌握

剛腕・小沢氏の動きが止まらない。

3月には日本維新の会の岩谷良平幹事長と会談し、夏の参院選に向け、いずれも改選数1の奈良、滋賀、和歌山の各選挙区で維新と候補者を一本化することで合意した。世論調査などで予備審査を行い、候補者を決めるという。

野党間の候補者調整は順調に進んでいないが、小沢氏が動けば物事が進むことを改めて見せつけた格好だ。

小沢氏は立憲党内に対しても遠慮はない。

消費税減税を巡り、枝野幸男最高顧問が4月の講演で「減税だ、給付だ、というのは参院選目当てとしか言いようがない。減税ポピュリズムに走りたいなら別の党をつくってください」と発言すると、小沢氏は記者会見ですかさず反論した。

「そういうことは言ってはいけない。意見の違うやつは出て行けということだ。多くの仲間、党員、友人、国民に対して非常に失礼、無礼、傲慢だ。みんなで議論しようという雰囲気の中で、挑発的なケンカをふっかけた。俺は『剛腕』とは言われたけど、『傲慢』とはあまり言われなかった」

ダジャレを交えての反論は小沢氏が絶好調の証しと言えよう。

小沢氏は消費税減税を訴えており、これに反対する枝野氏とは正反対の立場だ。2人はもともとソリが合わない。

玉木雄一郎代表を巡って意見が対立

「枝野氏は立憲の創設者というプライドがあり、周囲に『小沢氏の好きにはさせない』と息巻いていましたが、あっさり小沢氏のペースで政策も候補者調整も進んでいます。
小沢氏は、参院選後は野党を結集させ国民民主党代表の『玉木雄一郎首相』を誕生させることを目論んでいますが、枝野氏は『玉木氏は信用できない』と漏らしています」(全国紙政治部記者)

小沢氏が強気なのは、枝野氏や同氏を支持する議員が仮に離党しても、枝野一派が自民サイドにつくことは政治信条からしてあり得ないと踏んでいるからだ。

枝野氏同様、旧民主党時代から小沢氏に嫌悪感を抱いている岡田克也常任顧問も、小沢氏の影に隠れ、存在感はまるでない。

一方、自民党は「石破おろし」が起きる気配はなかったが、ここにきて高市氏が存在感を増しており、「やる気スイッチ」が入ったようだ。

少数与党の場合、国会で首相指名選挙が行われても、野党が結束すれば自民総裁が首相になれないという厳しい現実を高市氏は気付いていなかったとみられる。

周囲に「総裁になっても首相になれへんの?」と尋ねていたというのだ。

【参院選政局モード突入(2)】へ続く

「週刊実話」5月22日号より