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蝶野正洋『黒の履歴書』~パパ活女子と〝ご当地ドン・ファン〟

蝶野正洋『黒の履歴書』
蝶野正洋『黒の履歴書』 (C)週刊実話Web

25歳の元妻が逮捕され、殺人などの罪で起訴されるなど、「紀州のドン・ファン」事件が急展開をみせている。紀州のドン・ファンは一代で財を成した実業家で、「たくさんの美しい女性と交際したい」という思いで仕事に励み、美女4000人に30億円を使った男として話題となった。

自伝を出版したり、交際女性にお金を持ち逃げされるなどの騒ぎを起こしていたけど、2018年に謎の死を遂げてしまう。女道楽に人生を費やした資産家と、50歳以上の年が離れた妻。さらに愛犬の不審死、家政婦や若い妻を取り巻くさまざまな疑惑…と、まるで2時間ドラマを見てるような事件だ。

真相は分からないが、個人的には紀州のドン・ファンみたいな生き方はあってもいいと思う。女にモテるために頑張って金を派手に使い、若い嫁さんまでもらったんだから、ある意味で本望だったんじゃないかな。

それに、このドン・ファンのような人は、日本全国にたくさんいる。地方都市に行くと、そこで事業を成功させて、女性をはべらせているような〝ご当地ドン・ファン〟と遭遇することがある。別の言い方をすると「タニマチ」だ。

タニマチはもともと相撲用語。その昔、大阪の谷町に相撲好きの医者がいて、力士はそこに行けばタダで治療してもらえた、という逸話から付いた名前らしい。

プロレスの世界の「タニマチ」は、いわゆるスポンサー的な存在で、チケットをたくさん買ったり、試合後に豪華な食事を用意したり、資金面で援助するなどさまざまな形で選手を応援してくれる。こういう存在はどの世界にもいて、例えば芸術の世界なら「パトロン」と呼んだりするし、金や力を持ってる人が若い世代をバックアップするというのは、昔からある話。だからこそ、何かのきっかけで関係性のバランスが崩れるとトラブルになることも多いんだろうね。

若い女性は「ジジ活」に励もう!

最近、流行っていると聞く「パパ活」も、本質的には同じことだよ。食事やデートをしてお金をもらう「パパ活女子」も、それに大金を費やす「パパ」の男性も、俺にしてみれば何が楽しいのかよく分からないけど、パパ側からしてみたら、ちょっとしたドン・ファンやタニマチ気分になれるんだろうね。

トラブルになることもあるようだから問題がないとはいえないパパ活だが、大人の男女が納得してやってることなら、俺は別にいいとも思う。少なくとも、おじさんから若い世代にお金が回って経済が活性化するからな。

そう考えると、いわゆる「道楽」というのは、世の中に必要なことなんだよ。最近のIT世代の若い金持ち連中は女に金を使ったりしない。特に趣味もなかったりするから、稼いだ金をさらに株式やビットコインで運用したりする。それでさらにもうかるのかもしれないが、実体経済にお金が流れないから景気が上向かない。

だからパパ活女子はこういう社長に近づいて、どんどん金を引っ張って消費してほしい(笑)。あとはジジイたち。いまの日本は老人が金を貯め込んでいて使わないのも不景気の原因のひとつだから、若い女性は「ジジ活」に励んで、貯めた金を生きてるうちにパーッと使わせてあげたほうがいい。

日本経済復活のカギは、意外とこんなところにあるのかもしれないな。

蝶野正洋
1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。

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