春風亭一花、落語界タブーの同業者結婚を振り返る「中学生のデートみたいでした(笑)」

仕事を辞めて就活スーツ姿で必至の弟子入り

春風亭一花 (C)週刊実話Web
――でも、心の中では落語をやりたかった。
一花「はい。大学の先輩に連れられて初めて寄席に行ったときに、隣に座った見ず知らずのおじさんと、同じタイミングで笑っている瞬間に幸福感を覚えたんです。
年代を超えて笑いを共有できるって素晴らしいなと。そのときの気持ちが忘れられなくて、寄席で聴いた春風亭一朝師匠に弟子入りをお願いしました」

――簡単に許されたんですか?
一花「後から聞いた話だと、うちの師匠は女の弟子は取らないと普段から仰ってたらしいです。
でも、私が末廣亭(東京・新宿の寄席)で出待ちして、リクルートスーツに履歴書を持って必死の形相だったからか、『話だけ聞きます』と近くの喫茶店でお会いしてからは何を話したか覚えてないくらい必死でした。
仕事は辞めてきてるし、ここで断られたら後がない…と。それが通じたのか、『分かった。取るよ』と仰られて、その瞬間、安心と嬉しさで私は号泣。
周りはサラリーマンだらけの喫茶店で、おじさまが就活スーツの若い女の子を泣かしている形になってしまって。師匠には申し訳ないことをしました(笑)」

一花は2013年、26歳で入門し、翌’14年より前座修業を開始。’18年に二ツ目に昇進する。結婚したのはその翌年だった。

一花「二ツ目になって馬久から、結婚前提の交際を申し込まれました。二ツ目になると、寄席の修行がなくなる代わりに、自分で仕事を探すなど別の意味で忙しくなるんです。
私は最初、断りました。なぜって、入門したときに師匠から『同業者とは付き合うな』と釘を刺されていましたから」

――となると、同業者の目を盗んでのデートは大変だ。
一花「もっぱら自宅近くの公園やファミレスばかり。まるで中学生のデートみたいでしたね(笑)」