関節の軟骨や骨が加齢とともに変性・変形したり、すり減ったりして痛みや機能障害をきたす病気を変形性関節症といいます。特に原因がない場合と、過去の骨折や捻挫、感染などが原因の場合があります。全身のどの関節でも起こる可能性がありますが、体重がかかりやすい股関節や膝関節によく起こります。
すり減った軟骨や変形した関節は元に戻りませんが、悲観的になりすぎる必要はありません。骨や関節の変性・変形は避けることができない自然の流れだからです。歯が抜けることや耳が遠くなることと同じ現象とお考えください。差し歯を入れたり補聴器で聴力をカバーすればなんとかなるように、変形性関節症も適切な治療をすることで、ほとんどの場合、大きな問題もなく一生をすごせます。
怖れる必要はない骨棘
変形の1つの形として、骨棘というトゲ状の骨があります。トゲといっても、神経や靭帯などを圧迫していなければ問題ありません。
膝関節も、年齢とともに骨棘的な骨の変形が関節面の横に広がっていきます。膝関節は、徐々に太くなっていきますが、これは他の動物が4本以上の足で体重を分散して支えているのに対し、人間は2つの膝関節に全体重がかかっているからです。関節を太くすることで、体重の圧力の負担を軽くしているのだと考えれば、骨棘も必要以上に怖れる必要はありません。
変形性膝関節症については、次号でも触れていきます。
監修/井尻慎一郎先生
井尻整形外科院長。医学博士。著書・監修書に『痛いところから分かる 骨・関節・神経の逆引診断事典』(創元社)、『筋肉のからくり 動かし方を変えるだけでコリと激痛が消える!』(宝島社)などがあるほか、論文、講演、テレビ出演などで活躍中。井尻整形外科HPは下記。
https://ijiri.jp
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