2005年“ライブドア騒動”とは何だったのか? フジテレビ株主総会を前に当事者たちの動きが活発化

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【ホリエモン「フジテレビ経営権」奪取の怨念(1)】
6月の株主総会を前に、フジテレビの役員人事が熾烈を極めている。 物言う株主の投資ファンドなどが新役員候補を送り込もうとしており、新たな大株主を含めると、登場人物は2005年のライブドア騒動を彷彿とさせる。20年越しに悲願は達成できるのか―― 

旧村上ファンド系、SBIグループ、堀江貴文氏に動き

中居正広氏と女性アナウンサー(当時)のトラブルに端を発した一連の問題で、フジテレビは3月末に再発防止策及び第三者委員会の調査報告書を公表して火消しを図った。 

しかし、信頼回復には程遠く、スポンサーが戻ってくる気配はない。 

4月30日にフジ・メディア・ホールディングスは、2024年度の決算で最終損益が初の赤字になる見通しだと発表。当初は98億円の黒字だったが、201億円の赤字に転落する見通しだとした。次期会長候補だった金光修社長は、6月の株主総会をもって退任するとも発表されている。

事態が揺れ動く中、旧村上ファンド系やSBIグループ、“ホリエモン”こと実業家の堀江貴文氏など、2005年に起きたフジテレビの経営権を巡る“ライブドア騒動”当事者の動きが活発化している。 

アクティビスト(物言う株主)として、今後、経営陣の外部人材登用や経営改革を要求していくとみられ、フジテレビが大きく変容する可能性がある。 

まず、’05年に起きたフジテレビの親会社であるニッポン放送の経営権問題、いわゆるライブドア騒動を振り返りたい。 

事の始まりはニッポン放送の“ねじれ構造”

フジテレビは、ニッポン放送の10倍以上の売り上げがあるフジサンケイグループの中核企業だった。だがニッポン放送がフジテレビ株の22.51%を保有する筆頭株主としてフジテレビを支配する“ねじれ構造”になっていた。

村上世彰氏率いる村上ファンドは、ニッポン放送を握ればフジテレビが支配できることに着目し、’03年ごろからニッポン放送株を買い付けるようになり、一時、筆頭株主に。村上氏は’04年秋、堀江氏にニッポン放送株の売却を持ち掛けた。

そして’05年1月、ニッポン放送やフジテレビの創業者一族・鹿内家がニッポン放送株を手放すことになり、ニッポン放送の支配権を巡る戦いが始まる。

フジテレビは1月17日、ニッポン放送株の株式公開買い付け(TOB)を実施し、保有割合を12.4%から50%超~100%に引き上げると発表した。

これに対し、堀江氏率いるライブドアグループは2月8日朝、東京証券取引所の時間外取引でニッポン放送株29.63%を取得し、計34.99%の筆頭株主に躍り出た。その後も同株の買い増しを続け、50%近くにまで達したとされる。

フジテレビがTOBで取得できたニッポン放送株は36.5%にとどまるなど、フジテレビ劣勢の中、ホワイトナイトとして登場したのが北尾吉孝氏率いるソフトバンク・インベストメント(SBI)だった。

SBIはニッポン放送が所有するフジテレビ株13.9%を借り、ニッポン放送によるフジテレビ支配を弱める作戦に出る。

’05年4月、ライブドアはフジテレビと和解し、ニッポン放送株全株をフジテレビに譲渡し、ライブドア騒動は終了。村上氏はその後、ニッポン放送株を巡るインサイダー取引事件で、東京地検特捜部に逮捕された。

少し前置きが長くなったが、今回のフジテレビ問題を契機に、’05年のライブドア騒動の登場人物が次々とフジテレビ株の取得を始めているのだ。

「週刊実話」5月8・15日合併号より

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