森永卓郎さんが“株価下落”の未来を予言「日経平均は最悪1万4000円まで下がる可能性がある」

「私が手にした大金は、最後まで株を持ち続けた人が払う羽目になる」

株は、買うよりも売る方がはるかに難しい。特に上げ相場のときはそうだ。最高値更新という蜜の味を脳が覚えてしまっているからだ。
じつは、私は7月12日に生前整理とがんの治療費確保のため、株主優待目的のものを除いて、すべての株式や投資信託を処分した。バブル崩壊を予測したからではなく、資金確保のために偶然そのタイミングになっただけだ。

ただ、結果的に株高と円安のピークで処分することになったため、数千万円の大金が転がり込んできた。その大金は、毎月100万円以上かかっているがんの治療費に消えていくのだが、がん告知をされていなかったら、完全売却という決断はできなかったと思う。
多くの経済評論家が、「日経平均は企業利益との比較で見れば割高とは言えない」と、株価再上昇への期待を唱えている。しかし、株価の比較対象となっている利益そのものが、いまバブルを起こしている。
日経平均のバブル最高潮に達していた1989年にも、やたらと「Qレシオ」というバブルを正当化する指標が盛んに用いられ、株価は上がり続けると学者や評論家は口をそろえていた。

このまま日経平均がストレートにバブル崩壊に進むかどうかは分からないが、今回私が手にした大金は、最後まで株を持ち続けた人が払う羽目になる。
株式市場では昔から「最高値で売り抜けることは神様でもできない」といわれてきた。だから、老後の生活資金を確保するため、高値圏が続くいまこそ、投資から全面的に手を引くチャンスだと考えるべきだろう。

(2024年8月22・29日号)
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緊急出版 森永卓郎 絶体絶命の日本を救う最後の提言
2025年4月25日(金)発売
価格1650円(税込)/電子書籍版1550円(税込)

森永卓郎

1957年7月12日生まれ。東京都出身。経済アナリスト。1980年に東京大学経済学部を卒業後、日本専売公社(現在のJT)に入社。経済企画庁、UFJ総合研究所(現在の三菱UFJリサーチ&コンサルティング)などを経て、2006年から獨協大学経済学部教授。執筆のほか、テレビ、ラジオ、講演でも人気を博す。2023年12月にステージ4のがん告知を受け、闘病しながら活動を続けていたが、2025年1月28日死去。