「財務省に解散命令は出せない。ただ暴走を止める方法はある」森永卓郎さんが提言し続けた“絶体絶命の日本”を救う方法

「国民の被害は、旧統一教会の比ではないのだ」

一方、財務省はどうか。1980年度の国民負担率は30.5%だった。昨年度はこれが48.4%と18ポイントも上昇している。
国民負担率が80年度のままだったとしたら、現在の国民負担は70兆円も少なかったことになる。国民の被害は、旧統一教会の比ではないのだ。
しかも、統一教会は信者だけから献金を集めているが、財務省は国民全体から無理やり徴収している。悪質性という意味では、はるかに罪が重いのだ。残念ながら財務省は宗教法人ではないので、解散命令を出すことはできない。ただ、暴走を止める方法はある。

なぜ、財務省が増税を続けるのかというと、財務官僚の評価が増税すればするほど高まり、よりよい天下り先に行けるという人事制度があるからだ。
また、彼らが大企業や富裕層には増税せず、庶民や中小企業に重税を課すのは、天下り先の提供者が大企業や富裕層であるからだ。さらに、財務省批判をメディアや評論家が控えるのは、税務調査を恐れるからである。

となれば、財務官僚の天下りを全面的に禁止し、国税庁を完全に財務省から切り離せば、解散命令を出すのに近い効果が得られる。難しい話ではないだろう。

(2023年11月9日号)

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本書では近年、急上昇中の高齢者就労率に隠された国の思惑や暴走し続ける少子化対策の裏側、今後も起こりうる未曽有の経済バブル崩壊と経済的な身の守り方、「令和のコメ騒動」が勃発する前から警鐘を鳴らしてきた農業危機と、その自給率の危うさなどなど、庶民生活を揺るがすさまざまな問題を取り上げ、“モリタク流”の解決法を説いている。

緊急出版 森永卓郎 絶体絶命の日本を救う最後の提言
2025年4月25日(金)発売
価格1650円(税込)/電子書籍版1550円(税込)

森永卓郎

1957年7月12日生まれ。東京都出身。経済アナリスト。 1980年に東京大学経済学部を卒業後、 日本専売公社(現在のJT)に入社。経済企画庁、 UFJ総合研究所(現在の三菱UFJリサーチ&コンサルティング)などを経て、 2006年から獨協大学経済学部教授。 執筆のほか、テレビ、ラジオ、講演でも人気を博す。 2023年12月にステージ4のがん告知を受け、 闘病しながら活動を続けていたが、2025年1月28日死去。