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六代目山口組VS神戸山口組――水面下で動く分裂終結“重要人物”の存在

六代目山口組VS神戸山口組――水面下で動く分裂終結“重要人物”の存在
(C)週刊実話Web

間もなく丸6年を迎えようとしている山口組の分裂問題は、幾度も佳境を迎えながら依然として〝着地点〟が見えないままだ。しかし、敵対する六代目山口組(司忍組長)、神戸山口組(井上邦雄組長)の双方と繋がりのある唯一の人物が存在するという。分裂終結の〝キーマン〟になり得るとして、警察当局も監視の目を強めているのだ。

分裂直後、兵庫県神戸市内にある山健組本部には、大手マスコミの取材班も詰め掛け、離脱メンバーの動向を追った。国内最大組織の山口組が割れたという事実は重く、警察当局は当初から対立事件の発生を念頭に、警戒を強めていた。

「それだけではなく、他団体との接触にも目を光らせていた。例えば、どこの組織が六代目側に陣中見舞いをした、神戸山口組に防弾チョッキを送ったなどを把握し、今後の動きを見立てていたようだ。他団体の動向が分裂の戦闘に関わる可能性や、その団体内に与える影響を、早い時期から探っていたと思われる」(業界ジャーナリスト)

複数の犠牲者を出した神戸山口組が、攻撃に転じた三代目弘道会(竹内照明会長=愛知)の〝神戸拠点〟での組員銃撃事件(令和元年8月)は、戦局を揺るがした。約2カ月後には、五代目山健組(中田浩司組長=兵庫神戸)系組員2名が弘道会系組幹部に射殺される事件(同10月)に発展。のちに両山口組への特定抗争指定に繋がった。しかし、六代目側は攻撃の手を緩めず、指定以降も神戸側が被害に遭う事件が起きたのだ。

その最中には、神戸側の中核組織である五代目山健組が脱退。弘道会系組員への銃撃事件で勾留されている中田組長の意志であり、神戸側に残留した直系組長らには絶縁、破門の処分が下された。

さらに、分裂の首謀者の一人にして、神戸山口組最高顧問を務めた池田孝志組長率いる池田組(岡山)も脱退。内部方針を巡る直系組長らの意見のすれ違いが、表面化したといえた。

一方、六代目山口組は〝切り崩し工作〟などによって組員数を増やし、髙山清司若頭の出所後には、弘道会の新人事に次いで、六代目山口組直参を新執行部メンバーに抜擢する人事などを発表。戦闘に向かう体制強化にも余念がなかった。

強化策は内部にとどまらず、他団体との〝外交〟も並行して進められた。特定抗争指定によって、総本部を置く兵庫県神戸市、弘道会本部のある名古屋市などが警戒区域に定められ、組事務所の使用や組員5人以上の集結が禁じられる中にあっても親交を続け、定期的に時候の挨拶による訪問を受けてきた。

六代目側が方針転換を図った可能性

昨年末の挨拶は、警戒区域外である静岡県内の六代目清水一家(高木康男総長)と滋賀県内の淡海一家(髙山誠賢総長)で行われ、名古屋市内に居宅があるとされる司六代目も出向いて、各親戚・友好団体トップらと顔を合わせた。その傍らには常に髙山若頭の姿があり、精力的に活動する様子がうかがえたのだ。

「定期的な挨拶に限らず、4月に髙山若頭は稲川会・内堀和也会長(東京)と松葉会・伊藤芳将会長(同)、双愛会・椎塚宣会長(千葉)、東声会・早野泰会長(東京)との五社食事会に出席した。それも、髙山若頭が関東に赴いている。親戚団体との親睦は、六代目山口組にとって重要だということが分かるだろう」(同)

そもそも神戸山口組との分裂抗争において、六代目山口組は当初から能動的だった。〝開戦の合図〟となった長野県飯田市での射殺事件(平成27年10月)は、神戸側による組員引き抜きを阻止する目的があったとみられた。

「分裂は安泰だった六代目側の縄張りにも、異変を生じさせる問題だった。組員が神戸側に移籍したとなれば、拠点を奪われる可能性もある。だからこそ、早期に強い警告を含めた〝対処〟が必要だったのではないか」(山口組ウオッチャー)

実際、六代目側にとって〝長野県制圧〟は悲願だったとみられ、昨年9月、移籍が決定していた絆會(織田絆誠会長)直参が絆會・金澤成樹若頭に撃たれた際には、弘道会勢が県内に詰め掛けて拠点を占拠した。

さらに、兵庫県尼崎市では、古川恵一幹部射殺事件(令和元年11月)に続いて、神戸山口組若頭補佐を務め古川幹部から組織を受け継いだ仲村石松・三代目古川組組長(兵庫尼崎)も、昨年11月に銃撃された。尼崎市も〝制圧〟の対象だったとみられ、六代目側の次なる進撃が危惧されたのだ。

「ただ、今年に入ってから抗争事件は起きていない。神戸山口組の動きを見て、新たな戦略を練っている可能性もある」(前出・業界ジャーナリスト)

というのも、神戸側が九州最大組織の道仁会を率いる小林哲治会長(福岡)と、接触を重ね始めたからだ。

「小林会長と神戸山口組の寺岡修若頭(俠友会会長=兵庫淡路)が会っているという事実は、業界内外でも目的に関して憶測が飛び交った。親睦を深めるためだったようだが、両者の接触により六代目山口組が方針転換を図った可能性もある。六代目側と道仁会との交流はないが、道仁会は住吉会(小川修司会長=東京)と親戚縁組を行い、司六代目はその住吉会の関功代表と個人的な付き合いを続けている。ここで六代目側が神戸側への武力行使を続けたとなれば、業界全体のバランスにも影響しかねず、今は得策ではないという考えなのかもしれない」(同)

司組長を特殊詐欺で初提訴

分裂抗争が膠着状態にある中で、警察当局は両山口組と交流を持つ、ある人物の動向を追っているという。

「双方と直接やりとりできる人間で、ヤクザ業界でも影響力を持つ一人だ。ただ、表立って仲裁に入るようなことはないだろう。あくまでも、分裂問題が重要な局面を迎えたとき、水面下で両山口組のパイプ役になり得る存在とみている。そのために、当初から双方への行き来を欠かさないのではないか」(捜査関係者)

再統合を急ぐ六代目山口組と組織存続を掲げる神戸山口組の思惑は、平行線のままだ。分裂の終結は神戸山口組の方針次第であり、他組織が仲裁に入る状況ではないともいわれ、混迷の度合いを深めている。

その一方で、六代目山口組に〝新たな問題〟が持ち上がった。特殊詐欺事件の損害賠償を巡り、司六代目が初めて提訴されたのだ。

「六代目山口組系組員らが関与した特殊詐欺事件の被害者3人が5月20日、司組長と傘下組員に総額約2600万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴したものです。組織トップへの賠償命令は、すでに住吉会と稲川会に対して、最高裁で確定した前例があります」(全国紙社会部記者)

法廷闘争が見込まれる中、22日には六代目山口組・能塚恵幹部(三代目一心会会長=大阪中央)が出所。新潟刑務所から名古屋駅に降り立ち、髙山若頭らに復帰の挨拶を行った。

能塚幹部は一連の分裂抗争に関与したとして、凶器準備結集などの罪に問われ、一貫して無罪を主張。大阪地裁による懲役2年6月の実刑判決を不服として控訴し、高裁では懲役2年の判決が下った。最高裁に上告したが、昨年1月に収監されたのだった。

この事件で同罪に問われ、懲役2年8月の実刑判決を受けた秋良東力若頭補佐(秋良東力会長=大阪浪速)は昨年11月に出所しており、能塚幹部の復帰当日、2人は再会を果たした模様だ。

「早朝に新潟刑務所を出て、正午前には名古屋駅に到着しとるから、すでに最高幹部たちはどこかの拠点に集まっとったんやろ。能塚幹部の表情も明るかったで」(ベテラン記者)

また一人、直参が戦線復帰を遂げた六代目山口組。団結とともに、分裂終結に向けた意欲もより強まったといえそうだ。

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