不信任案提出なら解散総選挙発動で自民と共に大惨敗…立憲民主党・野田代表が抱える“恐ろしきジレンマ”【春の政治ドキュメント2】

石破茂首相(C)週刊実話Web
自民党の衆院1期生15人に10万円ずつの商品券を配り、激しい批判を浴び窮地に陥っている石破首相。自民党内からは首相交代論が公然と噴き出している。

退陣に追い込まれるのか、一か八かの衆院解散に踏み切るのか。

政局はにわかに緊迫の度を増している――。(全2回中の2回)

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岸田氏は次期政権を率いる気満々

3月10日に岸田元首相と麻生太郎自民党最高顧問、茂木敏充前幹事長が東京・四谷の日本料理店で行った会談の行方を、岸田氏に近い中堅議員が話す。

「仮に商品券問題で石破首相が退陣に追い込まれれば、後継の党総裁は臨時総裁選で決めるので、ほぼ国会議員だけの投票になる。すると、幅広く支持を集められそうな旧岸田派(宏池会)出身の林芳正官房長官が有力だ。3人で推す算段なのだろう」

実際、岸田氏は麻生、茂木両氏との会食から2日後の12日、派閥を解消しているにもかかわらず旧岸田派の約30人を都内のホテルに集め、今後の政治行動での結束を確認していた。

「岸田氏は力が入っていた。自身の再登板を含め、次の政権は宏池会で率いていく気満々のようだ」

出席した中堅議員はその心中をこう代弁した。

だが、内閣官房に詰める政府関係者によると、石破首相の政権維持への意欲は衰えておらず、自ら辞任する様子は現時点では皆無。

むしろ首相の側近グループは「騒いでいるのは旧安倍派や安倍氏に近かった議員。首相には『権力闘争なら受けて立つべきだ』と進言している」という。

「森山裕党幹事長ら政権幹部は、自民党内に首相の後継として手を挙げる人物はいないと思っている。少数与党のため政権運営は厳しく、参院選で負ければ短命で終わりかねない。そもそも新総裁を選んでも国会の首相指名選挙で勝てる保証はなく、下野する可能性すらある。だから石破おろしは広がらないというのが共通認識になっている」(同)

この睨み合いのような状況は、実は野党も同じだと言っていい。立憲民主党内で、内閣不信任案を「出すべし」との機運が盛り上がらないのだ。

野田氏は3月16日、青森市内での講演で「徹底して説明を求める。不信任案提出や退陣を求める声があるが、簡単には求めない。自民党はトップを代えて参院選に臨みたいだろうが、そうは問屋が卸さない」と語気を強めた。