時間の感覚を伸ばし『マトリックス』の世界へ…“もう一つの人生”を半永久的に楽しめる可能性【不老不死の研究最前線2】

画像はAIで生成したイメージ
人類の進歩はとどまることを知らない。

18世紀半ばに英国で起きた産業革命をきっかけに、科学技術は急激なスピードで発展を遂げてきた。

それと歩を合わせるようにして、人類の寿命も着実に伸びており、いまや主要な先進国の平均寿命は100歳の壁すら突破しそうな勢いである。

では、このまま進化が続いた先に、人類は永遠の命を実現することが可能なのだろうか。(全2回の2回目)

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250歳超を目指して老化予防を実践する大富豪

年間200万ドル(約2億8000万円)という大金を投じ、自らを実験台にして、あくまで科学的に“究極の若返り”に挑戦している大富豪がいる。

米国ロサンゼルスに住むブライアン・ジョンソン氏だ。

彼は、企業向け決済代行システムを2007年に立ち上げ、その後、巨額の企業売買を成功させてきた起業家、ベンチャー投資家として、輝かしい経歴を誇る。

ジョンソン氏は250歳以上まで生きる“死の超越”を目指しており、これはむしろ不老不死への挑戦というべきだろう。

30人を超える医療チームが結成され、1000本以上の論文や出版物に基づいた老化予防を実践している。

ジョンソン氏の加齢スピードは現在10歳児の平均以下で、これは1日あたりの摂取量をちょうど1970キロカロリーに調整したヴィーガン食と、大量のサプリメント、検査、そして運動(すべて午前4時30分から2時間半をかけて実践)という日々のルーティーンのおかげだという。

ジョンソン氏によれば、この生活スタイルを2年前から続けており、内臓と血液、皮膚ダメージの測定などの検査を受けている。

また、彼は毎日30種類以上のサプリメントと、考え抜かれたメニューの食事を摂り、しかも、1日の最後の食事は午前11時までには済ませているという。

睡眠にも厳しいルールを設けており、室温が管理された部屋で、快適な温度を保つオーダーメイドのマットレスを使用し、一人で寝ているという。

こうした超厳格なルールに従う生活にかかる費用は、年間およそ200万ドル(約2億8000万円)と推定されているが、大富豪の彼にとってはお小遣い程度かもしれない。

ジョンソン氏はこれまで、以下のようなことを達成したと主張している。

●体に起きている炎症反応が、10歳児の平均より66%も低いレベルになった。
●白髪が80%減少した。
●頸動脈狭窄症(脳へと繋がる首の血管が狭くなる疾患)を特定し、手術をせずに改善した。
●肝細胞と脂肪の比率が理想的な数値になった。
●健康レベルが18歳相当になった。

ジョンソン氏はこのプロジェクトを計画したきっかけについて、自身のYouTubeチャンネルで、日々のストレスから以前は「毎晩食べ過ぎていたこと」だと説明している。