「母親の愛情に飢えていた」そろって子持ち女性との“年の差婚”に踏み切った三兄弟の紆余曲折人生



全員がイクメンのマイホームパパ

妻の連れ子との関係も良好で、ステップファミリーとして平和に暮らし始めたという彼らには「自分の血を分けた子供が欲しい」と熱望する共通点もあった。

「長男と次男は自然に授かりましたが、奥さんがすでに四十代半ばだった三男は不妊治療をして一児をもうけています。不妊治療には莫大なお金がかかったそうですが、仕事をいくつも掛け持ちして必死で稼いだみたいですよ」

現在40代になった三兄弟は、全員がイクメンのマイホームパパとして幸せな家庭を築いているという。

「長男は連れ子2人と実子2人、次男のところは連れ子・実子共に1人ずつ、三男のところは連れ子2人と実子1人ですが、全員孫も生まれています。A子との関係も復活しました。5年前かな? A子が体調を崩して入院した時に、三兄弟全員の奥さんが交代で世話をしてくれたのがきっかけですね。三男の奥さんは実はA子より年上ですが同世代ですし、長男・次男のお嫁さんも似たような感じなので嫁・姑というより女友達みたいな感じで仲良くやっているようです。そんな様子を見て、私が『結果オーライってことで良いわよね?』と茶化すと『そうね』と笑っていました」

そうした関係の修復ぶりが功を奏し、今ではA子の生活にも大きな変化が起きているという。

「A子は息子たちが、継子と実子を分け隔てなく可愛がっている姿を見て、『仕事にかまけていて、子供たちに向き合ってこなかった自分』を反省しているように見えます。還暦を過ぎた彼女は、近い将来事業からは手を引くそうですが、会社を売却したお金は自分の余生と子供・孫・ひ孫のために使うと張り切っています。長男一家との同居も決まったし、A子の家には毎週誰かしら遊びに来ていてにぎやかになりましたよ」

これぞ大団円!

取材・文/清水芽々

清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。