来たるべき「人生100年時代」の地獄! 政府の陰謀と寝たきり大国ニッポン【長寿の裏側1】



必要な貯金額は上級国民にのみ可能な5000万円

2019年に「老後2000万円問題」が議論を呼んだことは記憶に新しい。

これは金融庁の報告書に基づいたデータで、1組の平均的な夫婦が老後を年金だけで賄う場合、生活水準を落とさずに暮らすとなると約2000万円の貯金が必要になるという。

このキーワードは5年たった現在もメディアで散見されている。

この2000万円という巨額の数字は、あくまでも現在の平均寿命をベースに算出されているが、本当に「人生100年時代」が実現されたとき必要になる貯金額は、なんと、5000万円にも上るといわれているのだ。

例えば1998年生まれの人が65歳で退職し、100歳まで生きることを想定すると、所得の25%を貯金に回さなければ老後を生き抜くことはできない計算となる。

これは、まったく現実的な数字ではない。

金融広報中央委員会の調査によると、国民の約3割は貯金がゼロの状態にある。

また、貧富の格差は拡大の一途をたどっており、老後資金を余裕で貯蓄できる人がいる一方で、派遣社員や契約社員など不安定な雇用形態に身を置き、結婚や出産すら躊躇する人も少なくない。

こんな状況下で、20年、30年先のことまで考えろというほうが酷である。

それでは老後を過ごしながら、途中で生活資金が尽きてしまった場合はどうするのか?

一つに、生活保護という手段がある。

事実、厚生労働省の資料によれば、2024年1月における生活保護受給者は約165万世帯で、そのうち半数以上の約90万世帯が高齢者だ。

いまや国における生活保護費の負担額は約4兆円にもなる。

現状でも国家予算を年々圧迫しているというのに、国民の2人に1人が100歳を迎える時代が到来し、その半数が生活保護を受給したら日本の財政はあっという間にパンクしてしまうだろう。