独立した息子の代わりを追い求め「夫の部下との情事」に行きついた熟れ妻の“ママ活”奮闘記



温泉旅行で理性が崩壊

「地方からの上京組で1人暮らし。都会での寂しい生活に潤いをもたらしてくれるママを求めています』みたいなアプローチと顔が好みだったので決めました。彼が夫の部下だと知ったのは初めて会った時。お互い個人情報は最低限にして話をしていたんですが、彼が話すブラック職場の内容がいちいち夫の会社と一致するんですよ。しかも夫としか思えない上司の話が出てきたので、まさか…と思いつつ『つかぬことを聞くけど…』と聞いてみたらビンゴでした。あり得ない奇跡すぎて、非常に気まずかったです」

気まずいのはA君も一緒だったが、彼は少し考える素振りを見せた後、「冴子さんが気にしなければ僕はまったく気になりません」とキッパリ。冴子さんも「そうだよね。お互い共通の知人がいるってことだと考えればいいんだよね!」と合意し、2人の付き合いは始まった。

ちなみに、「相手のことを息子だと思って接する」冴子さんのママ活はそれまで食事や買い物などが主で健全そのものだったが、A君とは一線を越えてしまったという。

「きっかけは温泉旅行ですね。ママ活相手とはその場限りの関係が多かったんですけど、A君とは継続してお付き合いをしていたので、そういう機会を持てたんです。やっぱりお泊りだとお互い理性を保てなくなりますよね。温泉で身も心もすっかりリラックスしたところに美味しいものを食べて、美味しいお酒も飲んで楽しくなっちゃったら、もう面倒くさいことを考える気にはなりませんでした」

とはいえ、一線を越えたことで夫に対する罪悪感はないのかを尋ねると、冴子さんは笑って首を振る。

「確かに男女関係はあるけど、私は『夫の大切な部下の面倒を見ている』という意識かな? 彼も 『お世話になっている上司へのお礼として上司の奥さんを接待している』感覚だと語っていましたね。そういう部分でもフィーリングが合うんです」

やや理解に苦しむところだが、とりあえず、“生きる屍”だった冴子さんが生きがいを見つけたことは喜ばしいことと言えるだろう。

取材・文/清水芽々

清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。