『コロナ給付金詐欺』逮捕者を「私の友人」と堂々誇示する駐大阪中国総領事の“危ない外交感覚”



ますます激しくなる「米国様」攻撃

昨年12月13日の国家公祭日(南京大虐殺犠牲者国家追悼日)には、自身のXに「#ナチスよりも残酷非道な旧日本軍731部隊」などと投稿していた。

1月14日の挨拶でも、攻撃的姿勢は健在で、旧正月明けからの対日外交の“キラーワード”は「世界反ファシズム戦争勝利80周年」とうかがわせるような伏線回収と言えよう。

今年は反ファシズムで日本を牽制してやろう――その矢先に、外交官の先輩たる「友人」が、テロやスパイ、経済安保など、首都東京の治安や国家体制に影響を及ぼす可能性のある事案を捜査・取り締まる警視庁公安部に逮捕されたのである。

さすがの薛氏も意気消沈していると思いきや、炎上上等の攻撃的な姿勢は崩していない。

その攻撃時に、薛氏が最近よく用いるのは、長めのハッシュタグで「米国様」を揶揄するというもの。典型的な投稿は、以下の2つだ。

トランプ米大統領が違法な合成麻薬フェンタニルの流入を理由に中国製品に一律10%の関税を課した措置に対して、林剣報道官のコメントを引用しながら「恩を仇で返している米国様にはより強力な報復しかない」(2月28日)と即座に反論している。

2月28日薛氏のX投稿より
もうひとつ、米国がロシアとの間で北極問題を協力可能分野とすることに対して、複数の米情報筋関係者の「中ロ関係が日増しに緊密になっているので、米国のやり方は成功しにくいだろうと明言した」という分析を紹介しながら、即座に反論している。

コロナ給付金詐欺容疑で逮捕された元外交官、徐耀華容疑者は「中国の食文化を日本に伝えた仕掛け人」と称されていた。

駐大阪中国総領事の薛剣氏はこれから何を仕掛けようとしているのか。

文/北上行夫

北上行夫(きたかみ・ゆきお)

ジャーナリスト。香港メディア企業ファウンダー。2001年より日系コンサルタント会社やローファーム向けに中国本土を含むASEAN販路開拓業務に従事。香港人/日本人/大陸人/華僑の不条理に挟まれ20年余、2018年より日本支社プロジェクトマネージャー。2023年より中華圏マーケット調査&ライターが集う「路遍社」に参画。テーマはメディアが担う経済安全保障。X(旧Twitter):@KitakamiYukio