13歳にしてスタンドデビュー! 生まれながらの応援家にして野球応援の革命を起こした男がその魅力を吐露



応援魂を震わせた千葉ロッテマリーンズ

「それが最悪の結果を招きます。出過ぎた杭は打たれるのが宿命なんでしょうね。あの不良グループに呼び出されるんです。20人ぐらいに囲まれて、『土下座して謝るか、タイマン張るか選べ』と理不尽な選択肢を突きつけられました。逃げましたよ。イヤですもん。でも、すぐに捕まってボコボコにされた上に無理矢理土下座をさせられたんです。しかも、あのタバコに誘ったやつですからね。今でも時々思い出す屈辱ですよ。でもね、このときに教わるんです。『人間は群れて、妬む』。そして、『謙虚さのないものは足元をすくわれる』ということを。これは、その後の人生を進めていくうえで大いに役に立ちましたね」

高校へ進むと、ジンの応援魂を再び震わせるチームに出会う。

当時ボビー・バレンタインを監督に迎え、新たにサッカー的で斬新な応援スタイルに切り替えた千葉ロッテマリーンズだった。

「マリーンズの応援は新鮮で、とても魅力的に映りました。そして応援団の人たちは高校生の僕に対しても、自分の個性というものを尊重し、伸ばしてもくれました。目上の人たちが新しいことをやることに意欲的だったこともありますし、僕もラッパ鳴らして、メガホン叩いて、という既存の野球応援に対して何か違う新しいことをやりたかった。チャンステーマを作ったり、サッカーみたいにジャンプしたり、そういう新しいことを提案しても、頭ごなしに否定するんじゃなくて、本気で受け入れてくれる。1998年の18連敗したときは、東京の学校に通いながら、3日間ともグリーンスタジアム神戸(現・ほっともっとフィールド神戸)に通ったりね。本当に楽しかった。当時、マリーンズの応援団にいた諸先輩方には、今でも感謝をしているんです。はい。でも、そうなんだけど、結果的に、2010年、“あの問題”で私が彼らを裏切ることになってしまうんですよね」

(中編へ続く)

取材・文/村瀬秀信

「週刊実話」3月20日号より