稀勢の里は“大逆転劇”の代名詞 ケガに耐えて奇跡の優勝、白鵬の連勝記録に待った【平成大相撲伝説の名勝負2】

しれっと大金星の裏には秘密が…

さかのぼること2010年(平成22年)のこと。この年、横綱白鵬は初場所から驚異的な強さを誇り、4場所連続で全勝優勝。11月に開催される九州場所前には千代の富士の連勝記録53を大きく延ばし、昭和に活躍した大横綱双葉山に迫る62連勝を遂げていた。

迎えた九州場所、初日を白星で飾った白鵬は翌日平幕の稀勢の里と対戦したのである。

前出の大手紙相撲担当記者がこう語る。

「2004年夏場所に新十両に昇進し、一躍注目を集めた稀勢の里も当時は伸び悩みが指摘されており、対白鵬戦では白星も少なかった。そのため、当時は圧倒的に白鵬有利と評判だったのです」

ところが、稀勢の里が立ち合いで頭から当たると、冷静さを欠いた白鵬が右で相手の顔を張ってもろ差し狙い。そのすきをついて左を差し出すと白鵬が体勢を崩して土俵外に寄り切られたのだ。

白鵬の297日ぶりの黒星はなんともらしくない内容だったが、稀勢の里のこの劇的な大金星には秘密があったという。

「実は稀勢の里は師匠から白鵬の相撲のビデオを見せられ徹底的に分析・研究していたというのです」(同)

要は、攻略法を引っ下げての対戦だったようだが、それをしれっとやってのけるあたりが、見ものだったともいえるのである。

文/週刊実話Web編集部