巨人“日本一奪還”は移籍選手の活躍次第 「大型補強史」が突き付けるマルティネス、甲斐拓也、田中将大の不安材料

甲斐、マルティネス、田中の「懸念点」

前記した通り、巨人は昨年末、ライデル・マルティネス(中日)、田中将大(楽天)、甲斐拓也(ソフトバンク)と立て続けに大物選手を獲得。久しぶりの大型補強を行ったが、獲得した移籍組3選手には、大きな期待と同時に不安材料も指摘されているのである。

まず、ライデル・マルティネスの懸念点は、ズバリ“勤続疲労”だ。2018年に中日の支配下選手に登録されて以来、昨年まで303試合に登板し、166セーブを挙げており、昨シーズンは来日後最多の60試合に登板した。

ただでさえ、クローザーの仕事は心身を消耗させるもの。あるとき、いきなりパフォーマンスが落ちても不思議ではない。さらに、巨人と中日では注目度が桁違い。中日ではたとえ逃げ切りに失敗したとしても周囲は寛容だっただろうが、巨人ではそうはいかないだろう。

次に、「絶対的司令塔」として期待されている甲斐拓也。キャッチング、ブロッキングなど、守備面は文句ナシに上手いが、「甲斐キャノン」と呼ばれた鬼肩は年齢的なものもあってか、盗塁阻止率が年々落ちている。

また、リード面の問題を指摘されるケースが少なくない。意外と(配球の)パターン決まっていて、球種に限らず、コースにも傾向が出ているという。

最後に、東北楽天初優勝、日本一の大功労者で、日米通算200勝まであと3勝に迫る田中将大は、何といっても昨シーズンわずか1試合しか投げていない。「魔改造」と呼ばれる久保康生コーチの指導が効果を発揮しているとはいえ、実戦で投げてみなくては分からない。戦力としては未知数だ。

今回の大型補強が成功と言えるかは、シーズンが終わってみないと分からないが、移籍組の活躍に球団関係者やファンが注目しているのは疑いようのない事実。その実力がチームカラーと融合し、牽引力となればセ・リーグ連覇、そして13年ぶりの日本一もあり得ない話ではないのである。