巨人“日本一奪還”は移籍選手の活躍次第 「大型補強史」が突き付けるマルティネス、甲斐拓也、田中将大の不安材料

【失敗例(2):2017年】補強選手が期待外れで、11年ぶりのBクラス

高橋由伸政権の初年度である2016年は2位に終わり、CSでも敗退。翌年のリベンジに向けて球界史上初の「トリプルFA補強」に成功、山口俊(横浜DeNA)や森福允彦(ソフトバンク)、陽岱鋼(日本ハム)を獲得した。

陽はキャンプ中の故障で出遅れ。後半戦になってから1番に定着したが、このシーズンは87試合出場、打率.264、本塁打も9本と日本ハム時代と比較すると物足りない成績に終わった。

森福は開幕一軍でスタート。セットアッパーとして期待されたが、なかなか調子が上がらず、本来得意であるはずの左打者に通用せず、移籍1年目は30試合の登板で6ホールドと精彩を欠く結果に終わった。

山口は右肩痛の影響で出遅れ6月に移籍後初登板初勝利を挙げるも、7月、自らの誕生日に泥酔したうえ暴行騒動を起こした。プロ野球協約に基づき、8月からシーズン終了まで出場停止などの処分を受け、このシーズンは1勝1敗と不甲斐ない成績だった。

結局、巨人はこのシーズン、球団最長の13連敗を喫するなど、リーグ制覇どころか11年ぶりのBクラス(4位)に終わった。

【失敗例(3):2021年】投打のベテランを獲得も、機能せず3位で終戦

時代の変化もあり、“FA不人気球団”に成り下がった巨人へ移籍する大物選手は少なくなった。2020年オフは山田哲人(ヤクルト)にフラれ、結局、梶谷隆幸と井納翔一(以上、横浜DeNA)を獲得した。

だが、梶谷は開幕してすぐは好調を維持するも、5月に左太もも負傷で途中交代すると、7月に死球で骨折、9月に腰痛を発症するなど怪我に苦しみ、61試合出場、打率.282、4本塁打、23打点に終わった。

井納は、先発ローテーションの一角として期待されたが、安定感がなく、すぐに二軍へと降格。結局、移籍1年目はわずか5試合の登板で、防御率も2桁を記録するなど絶不調でシーズンを終えた。

この両選手は、選手としてのピークが過ぎており、ほとんど機能せず。リーグ3連覇と日本一を目指したが、借金1の3位に沈んだ。

以上、巨人「大型補強」の歴史を成功例と失敗例に分けて振り返ってみたが、ここからは、今シーズンを占ってみよう。