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『闇の権力 腐蝕の構造』(さくら舎/1650円)~本好きのリビドー/昇天の1冊

『闇の権力 腐蝕の構造』(さくら舎/1650円)~本好きのリビドー/昇天の1冊 
『闇の権力 腐蝕の構造』(さくら舎/1650円)

『闇の権力 腐蝕の構造』(さくら舎/1650円)は、本誌で好評連載中の『ブラックマネー』の中から、関西圏で囁かれている黒い疑惑について加筆・再構成した書籍だ。疑惑の裏側に潜む闇社会の権力・人脈を紐解き、真相に迫っている。

取り上げたテーマは半グレ集団の資金源に始まり、吉本興業が参画しているクールジャパン機構の知られざる裏側、関西電力の原発マネー問題、古都京都の闇社会、大阪維新の会と都構想のあきれた実情など、多岐にわたる。カジノ誘致にまつわる汚職疑惑もある。

どれも噂されてはいるものの、テレビは内幕を報道していない。闇の権力への忖度が働いているのかもしれないが、それならば…と鋭く切り込んだ1冊だ。

諸悪の根源はすべて利権とカネにある

著者は一ノ宮美成+グループ・K21。『関西に蠢く懲りない面々』(かもがわ出版)など、『蠢く』シリーズを手掛けたフリージャーナリストたちだ。

よくもこれだけの疑惑があるものだと、思わずため息が出てしまう。しかも庶民とは無関係に見えて、実は学校・ふるさと納税・寺院・土地など身近なものと、さらにコロナ禍における行政サービス低下や医療崩壊まで関わっているのだから、看過できない。

著者はこうした件は一例であり、日本社会そのものがブラック化しつつあると警鐘を鳴らす。感染症の蔓延という社会不安につけこみ、今後はもっと増えてくる可能性すらあるだろう。

そして、諸悪の根源はすべて利権とカネにある。

(小林明/編集プロダクション『ディラナダチ』代表)