「不要品・粗大ごみ無料回収いたします!」SDGs流行りで増殖中の産廃業者が甘い汁をすする“儲けの闇”



土地の管理や蔵の整理を隠れミノにやりたい放題

「そうなるとかなり場所が限定されてしまいます。なので、うちの社長は手つかずのままになっている山や土地を持っている地主のもとを訪れ、ウソの企画書を見せて管理を請け負って廃棄場所にしていました。要するに詐欺みたいなものです。地主には高齢の方も多いですし『持て余していた山や土地を管理してくれるなら有難い』くらいな感じでこっちに丸投げするんですよ。どう管理されているかには興味がないのでこっちとしては好き放題使えるというわけです。不要品や粗大ゴミの無料回収業者が地方に多いのも、廃棄場所に困らないという理由からでしょうね」

また、A氏によれば他にも「地方ならでは」のメリットはあるという。

「地方には納屋や昔ながらの蔵を持つお宅がありますよね? その整理・回収を丸ごと請け負うことがあるんですが、そういう場所には転売しやすいものがたくさんあるんです。使わなくなった農機具や昔の生活用品、調度品などは外国人が喜んで買い取りますし、金属類もよく出て来ます。所有者も何を保管していたか把握していない場合が多いので、例えばお宝的なものをこちらが回収したとしても何も言われません。これは都市部ではちょっとできない仕事です」

ちなみにA氏は産廃業者の「元」社員であるが、退職した理由は「同業他社のタレコミで悪事がバレた社長が捕まってしまったから」だという。

「調子に乗ってやり過ぎたんですよ。最近は便利屋の看板を掲げた回収業者も増えていますが、最終処分方法についてはどこもグレーですから、うちの社長の二の舞にならなければいいなと思いますね(苦笑)」

A氏が語ったのはごく一部の悪質業者の話であり、真摯に仕事に取り組んでいる業者がほとんどのはず。なんにせよ、何事も“裏”というのは怖いものだ。

取材・文/清水芽々

清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。