「知れば知るほど深みにハマる」南米音楽に人生を捧げたレコード店オーナーがその独創的な魅力を激白!



“好きなモノ”に囲まれて生きる自由人

『大洋レコード』
そうなのである。伊藤さんが愛したものは、南米音楽と大洋ホエールズ(現・横浜DeNAベイスターズ)。究極の“自分が好きなモノ”に囲まれて生きる自由人。

伊藤さんの自宅の1階を改装して作られたお店『大洋レコード』には、ブラジル・アルゼンチンから直輸入で仕入れた音楽が新譜を含め約200アイテム。全曲試聴ができ、それぞれに伊藤さんによる心の込もったレビューが添えられ、店内では淹れたてのコーヒーに南米インスパイア軽食を食べられるイートインも併設。

その一方で、壁には石井琢朗のポスターに、鈴木尚典や須田幸太などベイスターズ選手のサインが入った白いギターがしれっと飾られた、おしゃれ&カオス。リズム&ベイスターズな雰囲気。

「野球でも中南米の選手、エスコバーやソトやグリエルなんかは日本人と“リズムが違う”と言いますよね。その国の音楽を知れば、育ってきたリズムの違いが分かるというんですかね。ブラジルなら小さな頃からサンバですからね。性格的にも明るくなるのも分かります。逆にアルゼンチンの音楽はメランコリーで哀愁の感じが昭和歌謡に似ていますからね、センシティブな日本人に近いですよ。でも三浦大輔が矢沢永吉を愛し、中村ノリが『暴れん坊将軍』を愛するように、南米の人たちも幅広い音楽性があるんです。知れば知るほど深みにハマりますよ。そういう意味では、南米音楽もベイスターズも似ていますよね。世間的にはニッチな存在でも、独創的で他には絶対にない魅力がありますから。この2つを好きになったのは遠いようで必然だったとも言えるでしょう」

学生時代から大洋ホエールズを愛していた伊藤さんが南米音楽に出会ったのはプロを目指してバンド活動をしていた2001年のこと。某大型CD量販店のバイトでブラジル音楽という存在を知ると、よみうりランドで行われた運命のイベント『ゲッツボサノヴァ』に衝撃を受ける。