リサイクルの際はご用心! 査定を偽りぼろ儲けする「悪徳質屋」の呆れた商魂



店主が被害に遭ったことも…

まさにぼろ儲けというわけだが、あこぎな輩は彼だけではないようで、これには後日談があったという。

「実は、その骨董屋は私から200万で買ったものを500万で売っているんです。相手は外国人コレクターって言ってましたね。私の倍以上も儲けているんですから呆れますよ(苦笑)」

これ以外にも「産廃業者が持ち込んだ仏像を2000円で買って30万円で売った」「祖母の形見だと言って持ち込まれた10枚の着物を2万円で買い取り、総額120万円で売った」などの話を武勇伝のように語る店主の座右の銘(?)は「ガラクタの山は宝の山」だとか。

「こう見えて、私は不法投棄された場所のクリーンボランティアもやっているんですよ。9割方はタダのゴミですけど、たまにとんでもないお宝が見つかることがある。間違えて捨ててしまったのか、実は盗品か何かで持て余したのか知りませんけど、捨てた時点で所有権を放棄しているわけですし、不法投棄が犯罪行為なのに対し、私は善意のボランティアです。私がネコババしたところで何の問題もありません」

よく分からない理屈ではあるが、要するに店主はボランティアを隠れ蓑にして「仕入れ」を行っているということ。しかも元手がタダなのだから、いくらで売れても丸儲けだ。

「無知というのは損なものです。知識がなければモノの価値なんて分かりませんから」

一歩間違えれば詐欺罪に問われかねないが、その店主の鑑定眼はどうやら本物のようである。

取材・文/清水芽々

清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。