「僕の人生はケチャップにまみれて潤いを得られたようなもの」ナポリタン学会会長が国民食の座を狙い奮闘中!



愛情と物語があるかが重要

逆に『うちを認定店にしてほしい』と売り込みが来たときは、調査員を派遣して、ナポリタンや店に対する思いを聞き取るという。

そう、ナポリタンは美味いのが大前提。それ以上にナポリタンに対する愛情、そして、その背景にある物語の方を見ているのだ。

「なんかね。こう…ナポリタンを見ているとね、お店の人のポリシーというか、生き様が見えてくるんですよ。そこが面白いんだ。『学生時代に食べた思い出がよぉ』とか『あの喫茶店がさぁ』なんて俺の味がどんどん出てくる。それは横浜だけじゃない。全国あらゆるところにまだ見ぬナポリタンがあって、北海道ならイカスミナポリタン。青森だと煮干しのニボリタン。そして、沖縄なら沖縄そばを使った『やんばるナポリタン』。これはNHK朝ドラ『ちむどんどん』で登場したことに乗っかって、我々がキャンペーンを展開。『日本ナポリタン学会やんばる支部』が生まれるきっかけにもなりました」

冗談みたいな形で始まった日本ナポリタン学会も、多くの人を巻き込み15年目を迎えた。

田中は昨年2冊目の本も出したそうだ。

「僕の人生はナポリタンのケチャップにまみれて潤いを得られたようなもの」

ナポリタンは今日も赤い。

だから田中は明日からも、ラーメン、カレーに続く国民食の座を狙っている。

(完)

取材・文/村瀬秀信

「週刊実話」2月20日号より