「君よ、ナポリタンを喰わずに死ぬなかれ!」ナポリタン学会の会長に就任した男の破天荒な啓蒙&普及活動



今ではナポリタンあられやケーキも

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やがて、名古屋嬢CINDYに上手いことそそのかされたこともあり、まんまと「日本ナポリタン学会」は設立される。

田中は会長に、CINDYこと岩室晶子は副会長に収まり、その後、ナポリタンを正しく伝える店を認定店として紹介し、ナポリタンを軸とした来客促進、関連商品の開発、ナポリタンの啓蒙、普及事業を行い、地域経済振興につなげる活動を開始。現在では認定店が38(閉店も含む)、ナポリタンあられ、ナポリタンケーキなど、認定商品が6つ。会員数は50人を超えるという。

「勢い余って“日本”と謳ってしまいましたが、実質認定店は横浜にあるお店ばかりでして、例外的に宮城県の女川町に1店あるだけです。学会というのはナポリタンの歴史やレシピの研究なんかも一応してはいるんですけど、そこまで畏まった意味はないんです。でも学会を名乗ったことでメディアからの依頼がすごくて、先日は“学会”違いで聖教新聞さんから執筆依頼がありました(笑)。この学会は、あくまでもナポリタン文化を世の中に広めていく有志によるボランティアの団体です。他に経済活動をしている団体はいくつもありますし、そういうところから『法人化してお金が入るようにすればいい』という話もされるのですが、僕らはこれで儲けようなんて一切考えていません。認定店はあくまでもナポリタンを愛する理念に賛同してくれることのみなんですから」

高尚な理念を会長自ら実践してきた日本ナポリタン学会。しかし、会長にピンチが訪れる。

正社員として働いていた会社が吸収合併されてしまい、職を失ってしまったのだ。

(次号、後編に続く)

取材・文/村瀬秀信

「週刊実話」2月13日号より