「君よ、ナポリタンを喰わずに死ぬなかれ!」ナポリタン学会の会長に就任した男の破天荒な啓蒙&普及活動



きっかけは「ナポリタン論争」

ナポリタンは日本が誇るソウルフード
「ナポリタンとひと口に言っても一皿ウン千円もする高級ナポから、その辺の食堂でハンバーグの付け合わせにされているナポまでございます。濃厚、酸味が強い、オイリー、さっぱり、具が大きい…いろんなナポリタンがありますが、私たちの活動の指針として、ナポリタンに貴賤なし。さりとて、そもそもは横浜のホテルニューグランドから始まったとされている誇るべきブランドです。今、横浜だけでなく日本全体が元気をなくしているなか、改めてソウルフードとしてのナポリタンを再認識し、ナポリタンが気楽に楽しめる元気な街になるよう、認定店をはじめ、さまざまな文化的アプローチをしていこうという。我々はそんな組織であります」

彼はナポリタンの使いか、聖職者か。今はケチャップの如き新鮮なオーラをまとい語る彼も、最初はただのナポリタン好き会社員「ハマの麺喰い男ALETTA1500GT」としてのんびりケチャップに浸っていた。

転機は07年ごろから始めた地域SNSでのナポリタン論争だった。

「おみゃーナポリタンって、イタリアンの間違いやろ。鉄板で焼いた名古屋のイタリアンこそスパゲッティの頂点だがや」

そんなことを豪語する名古屋出身の謎のミュージシャン「名古屋嬢CINDY」との対決は、やがて多くのナポリタン好きだけでなく、横浜市をはじめ地元局や多くの企業を巻き込んで燃え上がると、横浜開港150周年のイベントで『横浜×名古屋・ブランド争奪戦ナポリタン頂上対決』と銘打った料理対決で名古屋嬢CINDYと雌雄を決することに。

地元局tvkで毎日のようにCMが打たれ、200人以上を集めた世紀の一戦は、激闘の末に田中が勝利を収めたのだが、勝利の余韻の中でふと気がついた。

こんなにも人々を熱狂させるナポリタンのポテンシャルに。その当時、暗い話しか出てこなかった横浜の地域資源として、これ以上のブランドはないのではないか。