格差はさらに開くはず! 森永卓郎さんが暴露する黒字経営企業でリストラが続々と増え続ける“恐ろしき理由”

リストラ=役員報酬に…

役員報酬の急増は、小泉構造改革のときから始まっている。

この四半世紀、役員報酬の決まり方は大きな変化をしたと、私はみている。

今の役員報酬は、業績給とストックオプションのような株価連動給が大きなウエートを占めるようになっている。

そうした中で、役員が自分の報酬を引き上げようと考えたときに一番手っ取り早い手段は、まず従業員の給与を抑制することだ。

そうすれば人件費が抑制されて利益が増える。業績連動給は当然増加する。

そして、獲得した利益は企業内に内部留保として貯め込む。

そうすれば株価が上昇するから、彼らの株価連動給も増加する。

そう考えると、企業がとてつもない内部留保を抱える現状も、明確に説明できるのだ。

政府の「賃金を上げろ」という旗振りにもかかわらず、一向に賃金が上がらない大きな原因は、そうした仕組みにあるのではないか。

そうだとすると、賃金を上げるための手段も明確になる。

それは、役員の業績連動給と株価連動給を禁止することだ。

役員がリストラによって自らの報酬を引き上げることが禁止されれば、黒字下でのリストラに企業が走ることは、ほとんどなくなるはずだ。

そのことは従業員の雇用が安定するだけでなく、労働者の手取りが増えることで、日本経済の復活にも大きな貢献となる。

ところが、政治家からそうした改革案が出てくることは決してない。

それは、政治献金の多寡を決めるのは、他ならぬ企業の役員だから。

その意味でも政府による企業献金の禁止は、大きな効果を持つ経済対策になり得るのだ。

「週刊実話」2月13日号より

※森永卓郎先生が1月28日にご逝去されました
長年にわたり『週刊実話』で「経済千夜一夜物語」を連載していただき心より感謝しております
ご冥福をお祈りいたします