北海道から沖縄まで回転寿司108店舗、うどん76店舗を行脚! 食の旅人がローカルチェーン本に込めた熱意と生きざま



生きた証しを形として残したい

北海道の回転寿司
人間50年。食い道楽50年。人生100年時代でも、美味いモノを「美味い」とモリモリ食える時間はそう長くない。

BUBBLE-Bは終わりを意識し始めた。

きっかけは味覚の変化だったのかもしれないが、思索は自分の人生が終わった後のことにまで至った。

「僕がこれまで残してきたものは、ブログをはじめ、そのほとんどがデジタルです。それらは僕がレンタルサーバーにお金を払って空間を借りているだけなので、もしも僕が旅の途上で急に死んでしまったら、カードが止まって、これまで記してきたチェーン店の記録も、莫大に撮ってきた写真も一瞬のうちに消滅してしまうんです。それを怖いと感じるようになった。ならば、どうする。やっぱり、自分の生きた証しを形として残したい。やるならば、自分が読者として一番読みたい本を、です。誰にも文句は言わせませんよ。だから、すべて自分で作る自費出版でやろうと決めたんです」

チェーン店トラベラーであるBUBBLE-Bの生涯事業「ローカルチェーン店ツーリズムシリーズ」が企画された瞬間だった。

日本全国を旅しながらその街にしかないチェーン店の味を紹介していく、日々旅にして、チェーン店を栖とす、チェーン店奥の細道。だが時は折しも20年。芭蕉とてステイホームを強いられる、新型コロナの猛威が世界中を襲っていた。

飲食店は深刻なダメージを受け、1日1日と店が消えていく。

「早くしなければならない」

逸る気持ちを抑えながらも手始めにまずはこれまでの15年の回転寿司行脚の集大成として『ローカル回転寿司チェーン店のススメ』という37店舗を紹介する同人誌を初めて制作。好評の手応えを得ると、コロナ明けの23年5月、プロジェクトが本格始動した。