騙されるな!「103万円の壁」撤廃裏で厚労省が社会保険料の増額を画策 石破政権は「悪夢の年金国会」で来夏参院選惨敗へ



増えた手取りもマイナスに

全国紙政治部記者の話。

「年金加入者を増やして、年金財政を強化する狙いがあります。106万円を超えると厚生年金に入らねばならず、社会保険料が発生します。この壁を撤廃するということは年収がいくらであろうと、厚生年金に加入させられ社会保険料が発生するということです。つまり、手取りが減るという話なのです」

もちろん、将来受け取る年金は増える。

だが、当面手取りは減るわけで、103万円を超えると所得税が課せられるため、その基準を引き上げて手取りを増やす政策とは方向性が真逆なのである。

同じく社会部の厚労省担当記者は「103万円の壁の話に便乗して、106万円の壁を撤廃しようという厚労省のあざといやり方です。この法案が来年の通常国会に出されて、野党が追及した途端、石破首相は腰砕けになるのではないでしょうか。福岡資麿厚労相もいかにも頼りないです」と語る。

思い出されるのは2007年の参院選だ。

「消えた年金問題」で自民は歴史的大敗を喫し、旧民主党は参院で第1党に躍り出た。

旧民主はその勢いを維持し、2009年の衆院選で政権交代を実現させている。

年金問題は自民にとって鬼門だ。

同じことが来夏の参院選、次期衆院選で起きかねないと自民議員は戦々恐々としている。

党内からは「103万円の壁を引き上げて手取りを増やしても、106万円の壁をなくして手取りが減るなら、プラスマイナスゼロで国民から批判を浴びかねない」(若手議員)との声が漏れる。

12月10日の衆院予算委員会では、消えた年金問題の火付け役である「ミスター年金」こと立憲民主の長妻代表代行が質問に立ち、こう語った。

「来年は社会保障新改革元年にしないといけない。社会保障のほころびが致命傷になり、社会の分断を生むことになりかねない。社会保障の中でも大切になってくるのが年金でございます。かつて年金問題を追及させていただきました」

早くも“宣戦布告”である。

消えた年金問題は特にベテランの自民議員にとってはトラウマであり、長妻氏の言葉に身震いした議員もいたのではないか。