ダンプ松本『極悪女王』の真相激白!「声援じゃなくて野次が欲しい」髪切りデスマッチの裏側



「ブック」は本当に存在するのか?

ダンプ松本 (C)週刊実話Web
――クラッシュはアイドル的な人気があった一方、ダンプさんはファンからの嫌がらせがひどかった。

松本「いっぱい嫌われて、一番カミソリをもらえる選手になりたいって言ったら、いっぱい送られてきて。カミソリを買ったことがないよ(笑)。外でご飯を食べていたら、悪そうな男から割れたビール瓶を向けられたり。入場するときはトイレットペーパーやカップラーメンとか、物を投げてくるのが困ったね」

――ダンプさんは「タコヤキラーメン」のCMをやっていたのに。

松本「あと、当時のアメリカはかなり危なかったから、向こうで試合をしたときは、観客にナイフで刺されないように会社が甲冑を買ってくれた。300万円もしたっていうけど、実際は30万円だったかな。いらないって返したけど、記念にもらっておけばよかったよね(笑)」

――『極悪女王』で、プロレスファンの間で話題になったのが「ブック」という言葉です。ジャガー横田さんは「そんなものはない」と怒ってましたが、ブックという言葉はあまり気にならなかったですか?

松本「うん、全然。それで話題になってるんだから、もっと騒いでほしいよね。だけど、ブックは聞いたことない。だって、勝ち負けでギャラの値段が違うんだから。勝つために汚いフォール勝ちもあった。髪切りマッチのときは勝ったら300万、負けたら10〜20万だったから」

ダンプ松本 (C)週刊実話Web
――ドラマでは“敗者髪切りデスマッチ”がクライマックス。ダンプさんに敗れた長与さんの姿は当時、大きな反響を呼びました。

松本「髪切りは“極悪VSクラッシュ”というより、千種と飛鳥のどっちが試合に出るか、という戦いのほうが大きかったみたいだよ。自分は誰とやってもいいけど、ベビーフェイスは髪切りマッチをやったほうが人気も上がるだろうし」

――長与さんはダンプさんに負けて丸坊主になりました。

松本「あの頃、千種の顔をまともに見たことはなかった。憎たらしいし、殺してやりたいと思ってたから。あとから千種を見ると、アイドルみたいな顔立ちで(笑)。ファンがたくさんつくのも分かる。そのかわいい顔を血だらけにしたダンプは、憎らしいと思われるよね。あの髪切りで坊主になったことで、千種はまたガンと上に行ったけど飛鳥は…ってなる。ベビーフェイスの選手なんてさ、みんな人気者になりたいわけじゃない。ましてやクラッシュなんてペアだからさ。試合前に投げられる赤と青の紙テープ、どっちが多いかすぐ分かる。飛鳥のほうが目に見えて少なかったから、つらかったと思う」

――そんな影響もあってか、飛鳥さんは芸能活動を辞退。クラッシュとしてリング上で歌うことをやめました。

松本「自分のパトーナーだった(クレーン・)ユウさんとは同期だったんだけど、ユウさんはすぐに辞めちゃったでしょ。ブル(中野)ちゃんは後輩だから、張り合う関係ではない。クラッシュの2人は同期だし、2人の間で勝負もあった。やっぱりさ、みんなそれぞれさ、つらい思いは何かしらある。嫌なことがあってもプロレスが好き。リングで戦うことでファンの子に夢を見せてあげると同時に、選手はファンから声援をもらうことで嫌なことを忘れて夢をもらう。あの頃の全女は、そうやって盛り上がったんだと思う。自分の場合はヒールだから、声援じゃなくて野次が欲しい。最近は『極悪女王』のせいで悪いことをやっても野次が飛ばないから、困ってるんですけどね(笑)」

「週刊実話」1月2日号より

ダンプ松本

1960年生まれ、埼玉県出身。80年に全日本女子プロレス興業に入門しデビュー。84年、リングネームをダンプ松本に改名。80年代半ばからクラッシュ・ギャルズと激しい抗争を繰り広げ、女子プロレスブームを起こす。88年に引退するも、2003年から現場復帰。