「年収103万円の壁」がついに崩壊! 森永卓郎がひたすら減税圧縮を目指す財務省の悪あがきを暴露

森永卓郎(C)週刊実話Web
山は動いた。

11月22日に閣議決定された総合経済対策の中に、国民民主党が総選挙で掲げた「年収103万円の壁」を引き上げる税制改正が盛り込まれたのだ。

一般国民向けの恒久減税が講じられるのは、小渕内閣の定率減税以来、25年ぶり。この四半世紀、国民はずっと増税・増負担に晒されてきたから、まさに潮目が変わる大改革になった。

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ただし、具体的な減税手法や規模は、12月中旬に決まる税制大綱へと先送りされた。

いま財務省は、そこに向けて減税規模を圧縮すべく、猛烈な巻き返しに出ている。

一つは所得制限。壁を引き上げるための基礎控除の引き上げを低所得者層に限定しようというのだ。

だが、そんなことをしたら、より強固な新しい壁を作るだけだし、そもそも国民が納得しないだろう。

総選挙で国民民主党が議席を4倍に増やすほど支持された理由は、低所得者の減税を求めたのではなく、物価高で苦しむ一般のサラリーマンの手取りを増やしてほしいということだった。

だから、基礎控除増額で、一般のサラリーマンを蚊帳の外に置くことは、民意の無視につながってしまう。

そして、財務省が目論む減税規模圧縮のもう一つの方策は、住民税の計算に使う基礎控除を据え置くというものだ。

国民民主党が求めている年収の壁を178万円まで引き上げる改革では、減税規模が7兆円に達する。

そのうち、4兆円は地方税収の減少だから、地方を分離し、地方税の基礎控除を据え置くだけで減税規模を3兆円に圧縮できるのだ。

現在でも、地方税の基礎控除は国税と比べて小さく設定されているから、実現の可能性は高い。