北朝鮮遠征軍1万2000人無駄死にか それでも金正恩総書記がロシア派兵を止めない深刻すぎる“裏事情”



ロシアは26万人の派兵要求をする可能性も

そうした一方で、さる北朝鮮ウオッチャーはこう付け加える。

「ミリタリーバランスによると、北朝鮮正規軍は世界第4位の約130万人もいるが、土木作業員を兼務する兵も多く、戦闘力を持つ兵士は60万人程度とみられ、その多くは忠誠心が比較的高い中間幹部家庭の出身です。今回、派兵された兵士の多くも中間層の出身者とみられています。ロシア政権は、米国のトランプ次期政権がウクライナに致命傷となる援助を打ち切ったり、戦線を現状で凍結する休戦案をウクライナにのませる事態も想定し、来年1月20日にトランプ氏が大統領に就任するまでの約2カ月間で、できるだけウクライナ領土内へ深く素早く前進しようと焦っています。プーチン大統領がクルスク奪還を第1命令にしているのはその表れです。従って、ロシアは北朝鮮軍130万人のうち20%の26万人を送ってほしいと要求しているはず」

北朝鮮は致命的な外交上の失態を犯している。

11月4日にロシアを訪問しプーチン氏と握手を交わした崔善姫外相は「我が国は(ウクライナ戦争で)ロシアが勝利する日まで同志であるロシアを断固支援する」と明言してしまったことだ。

「この発言は正恩氏の許可を得たものでしょうが、今後、北朝鮮に重くのしかかることになる。というのも、兵員数についてロシアは北朝鮮の国内情勢や対韓国との関係などお構いなしに求めるに違いないからです。ですから正恩氏は今、トランプ新政権を藁にもすがる思いで見つめているでしょうね。トランプ氏は大統領選前から『(自身が大統領なら)1日で(ウクライナでの)戦争を終わらせるだろう』と語っており、早期停戦になれば、北朝鮮軍も損害を増やさずに済むからです」(外交関係者)

北朝鮮のウクライナ派兵は、金正恩体制の終焉をもたらすかもしれない。

「派兵の兵士に多数の死傷者が出れば、両親などは黙っていないでしょう。北朝鮮は一度兵役に就くと音信不通になるのが常ですが、“人の口”に戸は立てられません。戦死の情報は親族や関係者を動揺させ、金正恩体制は批判される。運よく派兵兵士が生き延びても、海外の情報を北朝鮮に持ち帰ることになりますから、正恩氏の神聖化は大きく棄損され、内乱の火種を抱えることになります」(前出・国際ジャーナリスト)